ハワード本人から明かされる、コービーに対しての感謝
今年のオフシーズンに、リーグ内で大きく勢力図が変わったように、かつて2012年の夏にも注目された大きな動きがあった。それはロサンゼルス・レイカーズがトレードにより、2度のシーズンMVP受賞経験のあるスティーブ・ナッシュ(元フェニックス・サンズほか)と、当時現役最高のセンターと評されていたドワイト・ハワード(現メンフィス・グリズリーズ)を獲得したというニュースである。エースのコービー・ブライアント(元レイカーズ)とパウ・ガソル(現フリーエージェント)に加えて、豪華なオールスターラインナップを形成し、優勝候補へと名乗りを上げた。
しかし2012-13シーズンは選手たちの度重なるケガとケミストリーを構築できないことに苦しみ、ナッシュとコービーが戦列から離れてシーズンを終えた後、ハワードはわずか1シーズンでヒューストン・ロケッツへ移籍。その後2014年、レイカーズとロケッツの試合にてコービーとハワードの直接対決が訪れ、第4クォーターにあるハプニングが起こった。ディフェンスリバウンドを獲得したハワードとコービーが口論となり、コービーがハワードに対して“ソフト(軟だな)”という言葉を放った。
あの出来事から年月が経った今、ハワードは『ESPN』のインタビューを通じて「コービーとの個人的な問題はなかった。僕がただ思うのは、僕たちには異なる2つのメンタリティがあったということだった。彼は何というか、バスケットボールを楽しんでいて、同時に何というか……わかるだろう? 彼のメンタリティは僕ではないんだ」と当時のことを振り返った。
「理解はできるよ、なぜ彼はそういう道にいるのか。彼は長い間多くの選手たちとプレーしてきていて、それに対して僕は子どもだった」と、コービーの闘争心に理解を示したハワード。続けて「それからレイカーズというフランチャイズへ加入し、優勝に貢献しようと思った。それから……彼は以前僕のことをソフトだと表現した。僕はそれから随分と長い間それを考え続けて、何というか彼のその言葉が嫌だったんだ。だって自分のやり方がまるで間違っているみたいじゃないか」と、一度は反論を入れた。
「それから彼はもっと僕のメンタリティに関して、何か言及していると思った。僕にとってその言葉は痛烈なものだったんだ。最初は気づくことができなかった、本当にあの瞬間は彼を憎んだよ」と言葉をこぼしたが、最後はコービーへ感謝の意を示した。
「けれど彼が述べていた内容がわかって、理解したよ。今ならわかる、という感じだ。だから皆それぞれに異なるタイミングで、異なるレベルへと到達する。僕はコービーが到達しているレベルに関して、無知だったんだ。だから感謝しているよ、コービー。僕をソフトだと言ってくれてありがとう。僕は今この時まで、あなたのその言葉の意味に気が付かなかった」
かつてコービーとハワードは1シーズンのみチームメートとなり、その後は互いに確執があったのではないかと噂されていたこともあったかもしれない。しかし今こうして時は流れ、引退したコービーへハワードが言葉をつづったことは、彼自身にとっても何か大きな意味があるのかもしれない。