黒人に対する構造的な人種差別の撤廃を訴える「ブラック・ライヴズ・マター(Black Lives Matter)」は、国際的な運動へと発展した。アメリカでは、ステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)をはじめ、ラッセル・ウェストブルック(ヒューストン・ロケッツ)、デマー・デローザン(サンアントニオ・スパーズ)など、多くの選手がデモに参加し、それぞれが声を挙げている。
マイケル・ジョーダンと彼が主宰するジョーダンブランドも、この活動を支援する意向を表明。人種差別との闘いをサポートするべく、1億ドル(約110億円)を支援することを発表した。
ジョーダンは、ミネアポリスの白人警察官に殺害されたジョージ・フロイド氏の死亡事件を受けて、米国各都市で10日連続で抗議活動が行われた後に、同誓約書にサイン。声明によると、寄付は10年間にわたって継続的に行われ、人種間の平等性、社会的正義、教育機会の拡大に献身する組織・団体へと寄付されるという。
ジョーダンブランドは、「ブラック・ライヴズ・マター」運動について「議論するまでもない声明です」と強く主張。そして、ジョーダン本人もブランドのインスタグラムを通じて、以下のコメントを伝えている。
「私は深く悲しみ、心を痛め、怒りを覚えました。人々の悲痛な声や憤り、もどかしさなどをその目で見て、感じています。私は、この国の根本に存在する人種差別や暴力と闘う皆さんと共にあります。もうたくさんです。
私は解決策を有していませんが、我々の声は強さ、そして誰からも分断されない団結力の表れです。互いの声に耳を傾け、思いやりや共感を示し、意味のない残虐な行為に背を向けないでください。我々は不公平に対して平和的に表現を続け、説明責任を要求し続ける必要があります。
一丸となった我々の声で、アメリカの指導者たちに法律を変更するよう圧力をかけるべきです。あるいは、我々は投票(選挙)によって、体系的な変化を促す必要があるはずです。我々一人一人が解決策の一部となり、全ての人々のために正義を勝ち取るべく、一致団結しなければなりません。
ジョージ・フロイド氏の家族、そして人種差別や不当な扱いにより意味もなく命を奪われた多くの人々のご冥福をお祈りいたします。マイケル・ジョーダン」
ジョーダンは長きにわたり、政治的・社会的な発言および活動を避けてきた。黒人政治家ハーベイ・ガント氏を支援しなかったエピソードは、ジョーダンが政治よりビジネスを優先している証拠として度々例にあげられ、「Netflix」で放送されたドキュメンタリー番組『マイケル・ジョーダン: ラストダンス』にも収録されている。
しかし、2016年にルイジアナ州バトンルージュやミネソタ州セントポールで起きた事件をきっかけに、ジョーダンは長い沈黙を破り、「ブラック・ライヴズ・マター」運動へのサポートを表明。その後は自身が活動家ではないことを強調しながらも、継続的に支援を続けてきた。
バスケ好きにとっても看過できない、このムーブメント。実感のわきづらいとされる日本でも、正しい理解と一人一人のアクションが、よりよい未来の実現の重要なピースになるに違いない。
文=Meiji