「奴隷解放記念日」を迎えた20日(現地時間19日)、全米各地で集会や抗議活動が行われる中、NBAワシントン・ウィザーズの八村塁はチームメートと共に人種差別撤廃などを訴えるデモ行進に参加した。
6月19日は、最後まで奴隷制度が続いていたテキサス州で、155年前に奴隷にされていた人々が自由を勝ち取ったことを祝う「奴隷解放記念日」だ。今年は、ミネソタ州で黒人男性が白人警官に首を押さえつけられて死亡した事件以来、「Black Lives Matter(黒人の命も大事だ)」運動が高まる中で、全米各地で集会やデモ行進が行われた。
首都ワシントンDCでも大規模なデモが市内の数カ所で行われ、そのうちの一つに地元のNBAチームであるウィザーズとWNBAのミスティクスに所属する選手らが参加した。このデモはウィザーズ のスター選手であるブラッドリー・ビールなどが呼びかけたもの。警察の残虐行為と人種差別の撤廃を訴えるためだ。ビール自身も2年前、彼が黒人で高級車を運転していた、というだけで警察官に調べられて脅された経験があるという。ビールは「理由もなく逮捕されそうになった。こういったことは自分だけでなく、毎日、アメリカのあちこちで起きていて、このことを無視するのはもうやめなければいけない」と訴えた。
デモの出発地点である本拠地のキャピタル・ワン・アリーナには数百人の参加者が集結。そこには黒人だけではなく、白人やヒスパニック系など様々な人種の人々の姿があった。八村は「Black Lives Matter」と書かれたオリジナルの黒いTシャツに身を包んだ。他にジョン・ウォールやトーマス・ブライアントなどの主力選手や、スコット・ブルックスヘッドコーチらも参加した。
八村は「私たちは共に(困難に)立ち向かう」と書かれた横断幕を持ってデモ隊を先導。新型コロナウイルス対策として、八村ら選手はマスクを着用していた。蒸し暑い気候の中、「正義なくして平和なし」や「黒人の命は大事だ」などとシュプレヒコールをあげながら、およそ3キロにわたって市内をデモ行進を行った。
そして、黒人差別の撤廃を訴え尽力した指導者マーティン・ルーサー・キング牧師の記念碑前では、参加者全員で拳を空に向かって突き上げ、人種差別をなくすために「共に立ち向かおう」と誓った。
文・写真=岡田由美子