「僕らは政治家ではないんだ。本当に世界を救うことができる仕事ではない。でも僕らはこれからも続けていく」とグリーンが地元メディアへ発言
8月27日(現地時間26日、日付は以下同)。ミルウォーキー・バックスがオーランド・マジックとのプレーオフ ファーストラウンド第5戦をボイコットしたことを機に、NBAはこの日行なわれる予定だったプレーオフ3試合の延期を発表。
これは24日にウィスコンシン州ケノーシャでジェイコブ・ブレイク氏を警官が背後から銃撃した事件が引き金となり、現地では再び人種差別への抗議活動が激化。ブレイク氏は一命を取り留めたものの、重傷を負っており、NBAでも試合前後に選手やコーチたちが発言していた。
27日に選手たちとコーチ陣によるミーティングが行なわれ、今後のプレーオフに関するアンケートでロサンゼルス・レイカーズとロサンゼルス・クリッパーズの2チームがシーズン中止に投票したものの、28日になってNBAとNBA選手会の双方で意見がまとまり、30日からプレーオフが再開することとなった。
29日に地元メディア『Los Angeles Times』へ掲載された記事の中で、レイカーズのダニー・グリーンは現状についてこう話している。
「僕らはここにいる。そう、僕らは皆ここにいるんだ。僕たちは皆プレーしたい。このチームには何かスペシャルなことを成し遂げるチャンスがあることは分かってる。でも、チャンピオンシップを勝ち取ることよりも、もっと重要なことがあるんだ。僕らは黒人としてこれからも生き続ける。それは今後もずっと変わらない」。
グリーンは社会正義、人種差別問題について推し進めるうえで、プレーすることが最善策だと感じているようだ。
「だから、もしチャンピオンシップを勝ち取る、あるいは人々やコミュニティのために何かいいことをするのであれば、僕らは後者を選ぶだろうね。そしてもし僕らが立ち去った状態で力強い声明を残していくことが必要ならば、それがベストな方法だと感じたんだ。それで僕らはそう(シーズン中止に投票)したんだ。でも僕らはまだここにいる。だからそれ(プレーすること)がたぶん最善の道なんだ」。
もっとも、グリーンは「僕らは今でもその道筋については話し合おうとしている」と切り出し、こう続けた。
「このチームにはベテランが多いから、もし何かシャットダウンすれば、このチームの多くは『オーケー』で済むかもしれない。でもそれは、若手選手たちからすればフェアじゃないかもしれない。つまり、僕らは全てのことを熟考したいんだ。自分たちもそうだけど、全員のことを大切にしたい。だから大多数の人たちがどう発言するのかを待っていた。僕らがリーグ全体のことを決断しようとしていたわけじゃない」。
レイカーズは30日にポートランド・トレイルブレイザーズとのシリーズ第5戦に臨むこととなる。3勝1敗でシリーズ突破に王手をかけているレイカーズは、明日の試合に勝利すればカンファレンス・セミファイナル進出が決まる。
「結局のところ、僕らは政治家ではないんだ。本当に世界を救うことができる仕事ではない。でも僕らはこれからも続けていく」とグリーンは話し、レイカーズは再びプレーオフという大舞台で激しい戦いを繰り広げていく。