ロサンゼルス・クリッパーズは、不本意な成績に終わった今季からの巻き返しを図るべく、オフシーズンを有意義に使う必要があるだろう。
最初の改革は、ヘッドコーチの入れ替えだった。球団は、前任のドック・リバースの解任に踏み切り、アシスタントコーチを務めていたティロン・ルーがヘッドコーチに昇格。ルーはこの1年、チームを俯瞰していただけに、“状況”は把握しているはず。先日は、スター選手であるカワイ・レナードとポール・ジョージに対する相次ぐ非難に「2人は残留する」と明言し、新たな船出に自信を覗かせていた。
しかし、周囲からの雑音が消えることはない。ルーが選手時代、ルーキーイヤーから3年間を過ごしたロサンゼルス・レイカーズの先輩、シャキール・オニールもかつてのライバルチームの現状に疑問を抱いている。
シャックは自身が出演する『The Big Podcast Shaq』において、クリッパーズに言及。そこで「彼らは誰かをチームから放出する必要がある」と切り出し、私論を展開した。
「ジョージをトレード要員にして、2人の優れた選手を獲得すればいい。なぜなら、俺はカワイが主役になるべきだと思うからだ」
「俺はカワイに他力本願になってほしくない。カワイがトロントにいたとき、彼は彼が中心ということを理解していたし、全員がそうだと認識していた」
ご意見番であるシャックのアドバイスは、2枚看板を務めるジョージを放出し、レナード主体でチームを再構築するべき、というもの。チームのケミストリーを乱すと噂されていたポール・ジョージが、レナードの足枷になっているとの見解を示した。
ルーはシャックの声をはじめ、さまざまな意見が飛び交うなかで「レナードとジョージは、長くこのチームに在籍すると思う」とコメントした。しかし、一部ではチーム解体までもが噂されており、ルーの発言の真偽は、クリッパーズの今後のアクションにより明らかになっていくだろう。
ただ、もし仮にPGを放出するとしても、スムーズに“受け入れ先”を見つけられるとは考えずらい。怪我と隣り合わせのムラのあるコンディション、クリッパーズで浮き彫りとなった信頼の薄さ、そして35億円を超える高額な年俸の全てを許容できるほど懐の深い球団は見当たらない。
以上を踏まえると、ルーはレナードとジョージの2大エースをそのままに、チームを軌道に乗せるための工夫が求められているのかもしれない。ルーはクリーブランド・キャバリアーズの監督時代、レブロン・ジェームズ、カイリー・アービング、ケビン・ラブのBIG3を操り、チャンピオンリングを獲得した手腕の持ち主。どのようにクリッパーズのロスターを操るのか、今後の決断に注目が集まる。
文=Meiji