ベテランから若手まで、現役NBA選手たちに多大な影響を与えたコービー・ブライアント

バスケットボール界に数多くのレガシーを残してきたコービー[写真]=Getty Images

デローザン、レブロン、ジョージ、カリー、マレーがコービーへの思いを語る

 昨年1月27日(現地時間26日、日付は以下同)。ヘリコプター墜落事故により、コービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)が41歳の若さでこの世を去った。

 レイカーズ一筋20シーズンをプレーし、5度の優勝、2度のファイナルMVP、1度のシーズンMVP獲得に加え、オールスターに18度、オールNBAチームに15度、オールディフェンシブチームに12度も選ばれてきたスーパースターとの突然の別れに世界中の人々が悲しみに暮れた。

 偉大なるレジェンドの他界に現役選手やレジェンドたち、各チームやアダム・シルバー コミッショナーをはじめ、NBAファミリーがコービーを追悼。直後の試合ではコービーが現役時代に着用していた24番と8番をリスペクトし、試合最初にショットクロックの24秒、バックコートバイオレーションの8秒を選手たちが意図的に行ない、事故で亡くなったコービーとその次女ジアナらに祈りを捧げた。

 あれから1年。NBAでは新型コロナウイルスの感染拡大による前代未聞のシーズン中断とシーズン再開。レイカーズが10年ぶり通算17度目のNBAチャンピオンに輝くなど、いろいろな出来事が起こったのだが、コービーは今でもNBAでプレーする現役選手たちへ多大な影響を与えている。

 レブロン・ジェームズ(レイカーズ)やステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)、デマー・デローザン(サンアントニオ・スパーズ)、カワイ・レナードポール・ジョージ(共にロサンゼルス・クリッパーズ)、カイリー・アービング(ブルックリン・ネッツ)、クリス・ミドルトン(ミルウォーキー・バックス)といったベテラン陣だけでなく、ジェイソン・テイタム(ボストン・セルティックス)、ジャマール・マレー(デンバー・ナゲッツ)、デビン・ブッカー(フェニックス・サンズ)など若手選手たちにもレガシーを残している。

 ここでは、23日に『USA TODAY』へ掲載された記事の中から、現役選手たちのコービーへの思いをいくつか紹介していきたい。

 まずはデローザン。トロント・ラプターズ在籍時からコービーファンであることを公表していたスイングマンは、昨年12月22日にYouTubeへ公開された人気コンテンツ「ALL THE SMOKE」の中で「僕はレイカーズの試合を観て育ってきた」と口にし、こう続けている。

「僕にとって、コービーはイマジネーションだった。小さい頃にバスケットボールと出会い、育ってきた僕にとって、コービーを知り、レイカーズファンになったことがきっかけだったんだ」。

 マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)をアイドルとして見てきたレブロンも、昨年コービーが他界する前に「本当に長い間、俺は彼のことをずっと見てきた。憧れていたんだ」と話していた。

 南カリフォルニア州出身のジョージは「彼は俺にとってマイケル・ジョーダンだった。SoCalで育ったヤツらにとって、彼は全てだった。俺はコービーのお陰でバスケットボールを始めたんだ。コートの両エンドで活躍する彼のプレーを観てきたから、ものすごく多くのことを取り入れてきた。小さかった頃の俺に、ものすごい影響を与えてくれたんだ」と語り、プレースタイルこそ違うものの、カリーはこう話す。

「アイソレーションやフェイダウェイ、ゲームウィナーといったアイコンとなったムーブから、彼は僕らの世代にとってのジョーダンだった。決勝弾を見舞った時は『スリー、ツー、ワン、コービー!』と大声で叫んでいたよ」。

 昨季のプレーオフで高得点を連発し、幾度となくナゲッツを救うビッグショットを沈めてきたマレーは、コービーのムーブやショットだけでなく、「メンタリティ」に大きな影響を受けたと口にしていた。

「父さんは最初、(ジョーダンを)尊敬していた。そしてコービーがやって来ると父さんの大好きな選手になったんだ。で、僕はコービーを観るようになった。彼の持つメンタリティ。決してあきらめたりしない勝利への強い意志と自分自身に対する自信がすごかった。全てはチャンピオンシップ獲得に臨むこと、彼はそのためにやってきたんだ」。

 もちろん、コービーから多大な影響を受けてきたのはここまでに挙げてきた現役選手たちだけではない。アンソニー・デイビス(レイカーズ)やケビン・デュラント(ネッツ)、ラッセル・ウェストブルック(ワシントン・ウィザーズ)に渡邊雄太(ラプターズ)など、そのリストに名を連ねる選手は数多い。

 ただ1つ言えるのは、偉大なるスーパースターの死から1年が経った今もなお、コービーが残してきたレガシーの数々はバスケットボール界で生き続けているということ。天国でジアナとバスケットボールに励み、ストイックな生活を送っているであろうコービーへ、彼らの言葉が届いてほしいと願うばかりだ。

文=秋山裕之

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