2020.02.26

コービーの追悼式で“偉大な兄”ジョーダンが涙ながらに告白「私の一部も失われた」

約2万人が見守る中、コービーへの想いを述べたジョーダン[写真]=Getty Images
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「コービーは最もすばらしい夫であり、私にとって全てと言える存在」(妻ヴァネッサ)

 2月25日(現地時間24日、日付は以下同)。カリフォルニア州ロサンゼルスにあるステープルズ・センターで、1月27日のヘリコプター墜落事故で命を落としたコービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)とその次女ジアナを含む9名の追悼式が行われた。

 約2万人が駆け付けた会場には、レイカーズのレジェンドであるジェリー・ウェストにアービン“マジック”ジョンソン、そしてカリーム・アブドゥル・ジャバー、シャックことシャキール・オニール(共に元レイカーズほか)、パウ・ガソル(現ポートランド・トレイルブレイザーズ コーチングスタッフ)が姿を現したほか、アダム・シルバー(NBAコミッショナー)、マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)、フィル・ジャクソン元HC(ヘッドコーチ)といったそうそうたるビッグネームたちが参加。

 現役ではステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)やジェームズ・ハーデンラッセル・ウェストブルック(共にヒューストン・ロケッツ)、カイリー・アービング(ブルックリン・ネッツ)らが集まった。

 コービーの妻ヴァネッサは「彼女の笑顔はまるで太陽の輝きでした。コービーはいつも、彼女(ジアナ)は私のようだと言ってました」とジアナについて切り出すと、水泳やヒット曲を歌うこと、クッキー作り、『サバイバー』(アメリカのバラエティ番組)を観たり、NBAの試合を父親と観ることが大好きだったこと、バスケットボールを父のように心底愛していたことを明かすと、将来は「WNBAでベストプレーヤー」になることができていたかもしれないという思いを口にした。

「最もすばらしい夫」と評したコービーについては「彼は私のことを愛してくれました。これまで私が表現、言葉にしてきた以上に、愛してくれました。私が炎で、彼が氷、逆もしかりです。……彼は私にとって全てと言える存在でした」と告白。

 会場には兄と慕っていたコービーのレガシーを引き継いだレブロン・ジェームズもおり、代理人のリッチ・ポールは「ジェームズにとって、今日は最も感情的な日だった」と『ESPN』へ明かしていたという。

コービーの追悼式に映し出されたモニター画面の1つ[写真]=Getty Images

「彼は可能な限り、ベストなバスケットボール選手になりたがっていました。そして私は、彼のことを知るにつれて、自分にできる限り彼をサポートする最高の兄になりたかった」とジョーダン

 そしてこの日、最も多くの人の心を揺さぶったのはジョーダンだった。コービーが急逝したことを知り、「彼は弟のような存在だった」と声明文の中で語っていたジョーダンは「コービーと私が非常に親しい友人だったことに、おそらく多くの人たちが驚いたはずだ。だが我々は実に親しい間柄だったんだ。コービーは私の親友だった。弟のような男だったんだ」と明かし、こう続けた。

コービー・ブライアントが亡くなったことで、私の一部も失われてしまいました。今ここにいる皆さん、そして世界中の人たちも、一部が失われ、ここにいることができなかったかもしれません。私たちはこの想いから学び、生きていくことになります。私も今日から、かわいい弟がいたという思いを胸に、生きていきます。わが弟よ、安らかに」。

オールスターゲームで話し合っていたジョーダン(左)とコービー(右)[写真]=Getty Images

 涙を流しながら、可愛い弟コービーへの愛が詰まったスピーチで世界中のファンの感情を揺さぶったジョーダンだが、大観衆を前に絶妙なジョークを交えることも忘れなかった。

 2009年にバスケットボール殿堂入りした際のスピーチで、ジョーダンは人目をはばからず涙を流していたのだが、その時に撮影された写真がインターネットを中心に出回り、ジョーダン本人の意志とは裏腹に、様々な状況下でSNSに乱用されていた。もちろん、ジョーダン本人はそのことを快くは思っていなかったのだが、この追悼式という状況下で、こんなジョークも飛び出していた。

「コービーはやってくれたよ。私はまた泣いているミーム(WEB上で拡散されるネタのようなもの)をこれから先、見ることになってしまうんだろうな。この先3、4年と、こんな写真を見たくないと妻には言ってたんだが、コービーにしてやられてしまったね」。

 これには会場中から思わず笑いがこぼれ、カリーは下を向いていたものの、今にも笑い転げそうな様子をカメラに抜かれていた。だがジョーダンが口にした言葉の数々は、コービーへの愛にあふれたものであり、まるで今年8月末に行われるコービーの殿堂入り式典でプレゼンターを務めているかのようだった。

「彼は可能な限り、ベストなバスケットボール選手になりたがっていました。そして私は、彼のことを知るにつれて、自分にできる限り彼をサポートする最高の兄になりたかった」。

 コービー・ブライアントというバスケットボールに全てを捧げてきた男は、間違いなく後世に語り継がれる偉大な選手。この先、3か月、半年、1年と月日が流れようと、コービーが残した功績の数々が色あせることはない。そして世界中の人々の記憶の中で、コービーは生き続けていくに違いない。

史上最高の選手の1人であり、すばらしい父でもあったコービーの功績が色あせることはない[写真]=Getty Images

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