2019年6月に来日した際、ゴールデンステイト・ウォリアーズのステフィン・カリーは「できれば、来年はオリンピックのためにまたここに帰ってきたいね」と口にし、こう続けていた。
「僕はこれまで、ワールドカップで2度、アメリカ代表としてプレーしたことがあるんだけど、オリンピックではまだプレーしていないんだ。過去に出場したことがある人たちからは、オリンピックでプレーすることは他と比べることができないほどの経験だと聞いている」。
同年9月にはオリンピック出場を希望していたが、昨季カリーは左手の骨折によって長期離脱を余儀なくされ、新型コロナウイルスのパンデミックもあってNBAがシーズン中断となり、わずか5試合の出場に終わっていた。
もっとも、今季は健康体を取り戻し、キャリアベストとなる平均32.0得点に5.5リバウンド5.8アシスト1.2スティールをたたき出し、ウォリアーズをプレーオフまであと一歩のところまでけん引。
だが、カリーは熟考の末、東京オリンピックへ参戦することを辞退。7月9日(現地時間8日、日付は以下同)に、『The Athletic』のアンソニー・スレイター記者はカリーが「難しい決断だった」と明かしたこと、そしてこう話していたと報じた。
「僕はオフシーズンを尊重したんだ。ワークアウトに励んで、コートへ戻ってくることにね。でも(オリンピックへ)参戦してプレーすることで、いろんなことが起こってしまう可能性がある…。それが僕にとって正しいことではないと判断したんだ。この決断にはすごく自信を持っているし、後悔なんてしていない」。
カリーはこれまで、アメリカ代表の一員として2010年のFIBA世界選手権、14年のFIBAワールドカップに出場していずれも金メダルを獲得していたのだが、本人が語っていたとおり、オリンピックではプレーしていなかった。
今季の得点王で、世界的に見ても超有名なバスケットボールプレーヤーだけに、もしこの男がオリンピックに参加していればさらなる注目を集めていただろう。だがチームメートのドレイモンド・グリーンは理解を示していた。
「ステフをアメリカ代表でプレーさせようとはしなかった。その必要はなかったんだ。俺はすでにその理由を知っていたからね」。
今回のオリンピックで、ウォリアーズからはグリーン、そしてスティーブ・カー ヘッドコーチがアシスタントコーチとしてアメリカ代表入りしている。そのカーは数週間前に『NBC Bay Area』へこう話していた。
「私はステフと、それにドレイモンドとも話した。私はそれがパーフェクトだと思っている。特にステフには多くの要求がある。シーズンでとてつもなくハードにプレーせざるをえなかった。彼は180パウンド(公称は185パウンド/約83キロ)で33歳なんだ。だから休養を必要としていたのさ」。
9月下旬に始まる来季のトレーニングキャンプに向けて、指揮官は「ステフがこの夏、家族との時間を過ごし、十分な休息がとれることをうれしく思う。9月のトレーニングキャンプに向けてしっかり準備できるだろう」とエールを送っていた。
カリーがオリンピックに参戦できないことは残念ではあるが、来季もリーグを席巻する超絶プレーを連発してくれると期待し、今は気長に待ちたいところだ。