8月7日に行なわれた東京オリンピック 5人制男子バスケットボール決勝戦で、フランス代表を87-82で下したアメリカ代表のグレッグ・ポポヴィッチHC(ヘッドコーチ/サンアントニオ・スパーズ)は「ようやく終われてうれしいね。難しい状況だったから」と口にした。
見事大会4連覇を成し遂げたアメリカだが、7月中旬に行なわれたエキシビジョンゲームではナイジェリア代表とオーストラリア代表に敗戦、グループリーグ初戦ではフランスの前に惜敗し、波乱の幕開けとなったことは記憶に新しい。
だがこの敗戦を機にアメリカはディフェンスを強化し、イラン代表、チェコ共和国代表を相手に快勝。準々決勝ではスペイン代表、準決勝ではオーストラリア代表に前半で2ケタリードを許す劣勢となるも、ハーフタイムまでに巻き返し、後半に入って突き放して勝利を収めてきた。
そして今回のアメリカ代表をけん引したのはやはり、ケビン・デュラント(ブルックリン・ネッツ)だった。アメリカが試合序盤にショットを決め切れずに苦しむなか、プルアップジャンパーやフリースロー、さらには3ポイントを決めて引っ張り、前半だけで21得点。試合全体でゲームハイの29得点に6リバウンド3アシストをマークし、自身としては3個目のオリンピック金メダルを手にした。
優勝決定後、デュラントは『NBC Sports』へ「あと1試合やれば家に帰れる。だから俺は、コートに立ったら自分の持ちうる全てを持ち込まなきゃいけないと思っていた。俺は相手を撃沈させるショットをいくつか決めて、リードを守ることができた」と語りつつ、「(チームメートたちが)皆、自分たちのことを犠牲にしてくれた。金メダルを勝ち取るために、チームファーストになってくれたんだ」と、チームとして成熟し、全員で勝ち取った金メダルであることを強調。
そのデュラントについては今週デイミアン・リラード(ポートランド・トレイルブレイザーズ)が「彼は世界最高の選手」と称賛。決勝で対戦したルディ・ゴベア(ユタ・ジャズ)も「僕らは自分たちにできる限りハードに対策しようとしてきた。でもあの男はケビン・デュラントなんだ。彼は世界でもただ一人、ああいったショットを決めてしまう。バスケットボール界でベストなスコアラーだと思う。彼は彼の仕事をこなすんだ。特にこの大舞台でね」とお手上げだった。
とはいえ、決勝戦でもフランスの追い上げに遭い、3点差まで迫られる場面もあり、快勝という展開ではなかったものの、アメリカはそこから相手の攻撃を阻止し、リードを広げて金メダルを手にしたのである。
リラードが「安堵したというより、俺としては楽しかった。でもほっとしているのは確かだ。アメリカ代表はこの(金メダルを獲得する)場所までたどり着くことが期待されているから。だから安心することができたのは間違いないね」と発したこの言葉が、選手たちだけでなくコーチ陣やスタッフたちの思いを代弁していたと言っていいだろう。