東京オリンピック 5人制男子バスケットボールは、アメリカ代表の4連覇で幕を下ろした。大会MVPに選ばれたケビン・デュラント(ブルックリン・ネッツ)は3大会連続3度目の金メダル、ドレイモンド・グリーン(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)は2大会連続の金メダルを勝ち取り、デイミアン・リラード(ポートランド・トレイルブレイザーズ)やジェイソン・テイタム(ボストン・セルティックス)といったその他の選手たちは初の金メダルを獲得した。
大会初戦のフランス戦こそ惜敗したものの、アメリカはそこから一度も負けず、優勝まで一直線に突き進んだのだが、今大会のロースターがベストメンバーかと聞かれたら、決して首を縦に振ることはできないはずだ。
レブロン・ジェームズ、アンソニー・デイビス(共にロサンゼルス・レイカーズ)、ステフィン・カリー(ウォリアーズ)、ジェームズ・ハーデン(ネッツ)といった選手たちがケガの回復や休息、健康面の不安などを理由に出場を辞退しており、大会本番を迎えても本命視されていなかったことは事実。
特に昨季平均32.0得点で自身2度目の得点王に輝き、2年ぶりにオールNBAファーストチーム入りを果たしたカリーは、キャリア12シーズン目ながら自己最高の個人成績を残しており、出場する可能性があることを口にしていただけに、今大会でプレーしなかったことは残念だった。
今後、2023年にFIBAワールドカップ、翌24年にパリオリンピックが開催されるのだが、33歳のカリーは次回のワールドカップを迎える頃には35歳、オリンピックでは36歳となるだけに、国際大会でこの男の姿を見ることができるチャンスは確実に減っていることも否定できない。
カリーは2010年のFIBA世界選手権(現ワールドカップ)、14年のワールドカップに出場し、いずれも金メダルを獲得しているものの、オリンピックには出場できていないだけに、ぜひともオリンピックの舞台でカリーを見てみたいと思っている方も数多くいることだろう。
そんな中、オリンピックの決勝でアメリカ代表がフランス代表を下した数時間後にマーク・スタイン記者がスティーブ・カーとコンタクトを取り、カリーのオリンピック出場の可能性について「彼はこの地でベストなシューターだ。ステフは今から3年後でも、オリンピックチームで間違いなくプレーできるさ」と話していたと8月10日(現地時間9日)に報じていた。
カーはゴールデンステイト・ウォリアーズでヘッドコーチ(HC)をしており、カリーを7シーズン見てきた人物。アメリカ代表ではグレッグ・ポポヴィッチHC(サンアントニオ・スパーズ)の下でアシスタントコーチをしており、東京オリンピックで展開されていた数々のゲームを間近で見てきただけに、カリーが誇るシュート力は十二分に通用すると感じたのだろう。
先日、カリーは4年2億1500万ドル(約236億5000万円)という超巨額な延長契約を結んでいることから、ウォリアーズ一筋でNBAキャリアを終える可能性が高い。その中で、キャリアを左右するような大ケガに見舞われることなく、良好なコンディションを保つことさえできれば、次のオリンピックでアメリカ代表の一員としてプレーする可能性は十分あるのではないだろうか。