千葉ジェッツ所属の日本代表PF小野龍猛「すべての数字をアップさせる」

主将としてチームを引っ張る小野龍猛。取材では意外な一面も明かした [写真]=山口剛生

身長197センチで見るからに強面。名前も「龍猛」と、いかにもだ。雑談でのファーストコンタクトではニコリともせず、ちょっと帰りたくなった。“雪解け”を感じたのは、話し始めて5分後。徐々に会話が弾み、サッカーが話題に上ると、相好を崩して饒舌になった。「ジーコとかアルシンドとかも好きですよ」。ホッとした。「インサイド、アウトサイド両方で点が取れる」万能プレーヤーは、日の丸を背負ってリオデジャネイロ・オリンピックの予選を戦った。千葉ジェッツではキャプテンを務め、「初代チャンピオン」を虎視眈々と狙う。個人目標は「すべてのスタッツを伸ばす」。クラブ、引いてはリーグを引っ張るであろう小野龍猛がバスケットボールについて熱く語り、全くの予定外だったサッカー愛?を打ち明けてくれた。

インタビュー=安田勇斗
写真=山口剛生

今シーズンのチームの特徴
最後まで試合をあきらめずにハードワークする、活気のあるチームを目指しています。ディフェンスではこぼれたボールをダイビングしてでも取りに行ったり、リバウンドでも必死に戦ったり。基本的なことですけど、それを一から大事にしてやっていこうと。スタイルとしては守りから入るチームで、リバウンドからの速攻だったり、ディフェンスからオフェンスへの速い切り替えを特に意識しています。

自分の特徴
自分はインサイド、アウトサイド両方で点が取れる選手だと思っているので、そこを見せていきます。また、キャプテンでもあるので、悪い流れの時はチームを鼓舞したり、選手を集めて話し合ったりすることも自分の仕事だと思っています。

千葉ジェッツでイチオシの選手
全員見てほしいですけど、誰か1人挙げるとしたら……富樫(勇樹)とは言わないですよ、いろいろな方に推されているんで(笑)。うーん、原(修太)ですかね。うちは地域密着型のクラブだと思いますし、その中で船橋出身の原がルーキーとしてどういうプレーを見せていくか注目してほしいです。と、僕が言って、あいつにプレッシャーをかけます(笑)。若くてハッスルしてくれますし、良いドライブがあってシュートもキレイなので楽しみですね。初めてのシーズンでどう戦っていいかわからないこともあると思いますけど、そういうのを払拭するプレーを見せてほしいです。

他のチームで仲が良い選手
同年代の選手はみんな仲がいいですよ。大学の時から切磋琢磨してきた選手ばかりなので。うちの上江田(勇樹)とか石井(講祐)とかもそうですし。他のチームだったら、栃木ブレックスの古川(孝敏)とか渡邉(裕規)、落合(知也)、前村(雄大)、川崎ブレイブサンダースだったら栗原(貴宏)とか。前にトヨタ(自動車アルバルク)にいたので、アルバルク東京の選手とも仲がいいし、日本代表としてリオ五輪の予選を戦った仲間たちともいい関係が築けています。

憧れている選手
NBAをよく見ていたのでマイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズ)とか、コービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)とか、レブロン・ジェームズ(クリーブランド・キャバリアーズ)とかには憧れます。僕はバスケを始めたのが遅くて、ジョーダンはリアルタイムで見ていた世代ではないんですけど、誰もが憧れる選手ですよね。あとは……小1から小6までずっとサッカーをやっていたのでジーコとかアルシンド(ともに元鹿島アントラーズ)とかも好きですよ(笑)。

サッカー愛
Jリーグ開幕からずっと見ていたので、90年代のJリーグは詳しいですよ、思い入れも強いです(笑)。今も日本代表の試合は見ますし、海外ではネイマール(ブラジル代表)が好きですね。サッカーの代表戦を見ると、自分がバスケの代表で試合をしている時にどう思われているのか、とか考えちゃいますね。例えばサッカーを見て「ここはこうだろ!」とか思ったりするんですけど、僕も同じように思われてるのかなって(笑)。昔のJリーグが好きだったので、前園(真聖/元日本代表)さんがBリーグの取材現場にいると、「あっ、アトランタ五輪に出た天才ドリブラーだ」って思いますし、千葉で言うと、元ジェフ千葉の(ピエール)リトバルスキーなんかは懐かしいですね(笑)。

バスケに活かさせるサッカーのプレー
バスケもサッカーも縦パスを結構出すんですけど、縦パスはサッカーで学んだ部分が大きいですね。自分で言うのもなんですけど、僕は結構パスうまいんですよ(笑)。ノールックパスもサッカーをやっていた時からのクセですし、視野の広さも、サッカーの広いピッチでやっていた経験が活かされていると思います。

バスケ界のサッカー好き
結構いますよ。何年か前の代表合宿では『ウイイレ』が流行ってましたし(笑)。竹内公輔選手(栃木ブレックス)とか、辻(直人/川崎ブレイブサンダース)とか、比江島(慎/シーホース三河)とかみんなやってましたから。全員「俺が強い」って言いますけど、一番強いのは僕です(笑)。

自身の性格
面倒くさがりですね。言い合いとかになっても、「もういいじゃん」ってなっちゃうんで(笑)。キャプテンも、正直に言えば面倒くさいですよ(苦笑)、すべてにおいて気を遣わないといけないですから。でもバスケに関してはやらなきゃいけないですし、昨シーズン、キャプテンを務めてすごく大変でしたけど、それが自分にとっては本当に良い経験になりました。

Bリーグについて
もっともっといろいろなチーム、選手がメディアに出て、盛りあげていければと思っています。もちろんその分、選手たちはがんばらないといけないですけど。見に来てくれる方々に、「来て良かった」、「また来たい」と思ってもらえるようなゲームをしないといけないですね。それに応えるだけの魅力やエンターテイメント性が、バスケにあると思いますのでそれを信じてやっていきます。

今シーズンの目標
初代チャンピオンしか目指していません。僕自身はスタッツを、昨シーズンよりも伸ばして多くの勝利に貢献したいです。具体的には平均15点以上。でもそれだけじゃなくて、リバウンドもアシストも、すべての数字をアップさせることが目標です。

小野龍猛(おの・りゅうも)/千葉ジェッツ 背番号34
1988年1月6日、東京都出身
197㎝/96㎏
中学高校でともに全国大会を経験し、中央大学時代にはユニバーシアード代表としても活躍。2010年にトヨタ自動車アルバルクに加入、2013年から千葉ジェッツでプレーする。リオ五輪予選の日本代表にも名を連ねた。

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