2017.02.17
身長174センチとバスケ選手としては小柄な伊藤駿(たかし)の第一印象は“ザ・好青年”。青山学院大学卒、さわやかな顔立ち、説得力がありそうな低い声、そして26歳にしてキャプテンというプロフィールに気圧された感はある。サンロッカーズ渋谷の「渋谷」もまた、彼にオーラをまとわせる。さて取材ではどんなボロを出すのか、なんて意地悪な気持ちは数分で吹き飛び、その印象は最後まで覆らなかった。どころか、話してみてさらに好感を持った。取材にはとても協力的で、プレーの動画撮影にも嫌な顔一つせず、こちらの要望に何度も何度も応えてくれた。インタビューを文字にすると残念、人柄までは伝わりにくい。でもコートに行けば伊藤に会える。ぜひ彼の母校である、クラブのホームアリーナ、青山学院記念館まで足を運び、好青年ぶり、いやいやまずは切れ味鋭いドライブ、一分の隙もないディフェンスをその目で見てほしい。
インタビュー=安田勇斗
写真=山口剛生、サンロッカーズ渋谷
今シーズンのチームの特徴
ディフェンスから速い展開でオフェンスにつなげていくのが特徴です。まずはディフェンスから相手のミスを誘って、ボールを奪ったら5人全員で走って攻撃を仕掛けます。
自分の特徴
一番はディフェンスです。そこからチームに流れを持ってくることを、常に意識してプレーしています。しつこく相手についていくディフェンスをぜひ見てほしいですね。オフェンスでは、ドライブで中に切れこんでいくプレーだったり、センターの選手とピック・アンド・ロールを使ってズレを作り、そこに自分が攻めていく形だったり。あとはアシストです。
仲が良いチームメート
みんなと仲がいいですけど、特に仲がいいのは同期の満原(優樹)です。練習が終わった後によくご飯に行ったりしています。身長が2メートルぐらいあって体が大きいんですけど、シャイなんですよ(笑)。普段は結構ズバズバ言うタイプなのに、ファンの方々と接している姿を見ると、シャイだなって感じますね。
サンロッカーズ渋谷でイチオシの選手
今シーズン、一緒にキャプテンを務める広瀬(健太)さんですね。身長が高いんですけど運動量豊富で、ドライブ、シュート、リバウンドなど何でもこなす選手です。見ていてワクワクさせてくれる選手だと思います。チーム内にキャプテンが2人いるというのは珍しいですし、僕も初めての経験です。普通はキャプテンと副キャプテンなんですけど、ある時(BTテーブス)ヘッドコーチに呼ばれて「今シーズンは2人でいくから」って言われて「あっ、……はい」って感じで(笑)。
キャプテンとしての心構え
新しいメンバーが5名加わりチームが大きく変わったので、特にコミュニケーションを大事にしていこうと思っています。試合中はもちろんですけど、コート外でも他愛もない話をしたり、積極的に声をかけてチームワークを高めていきたいですね。
他のチームで仲が良い選手
青山学院大学の同期で、日本代表でも活躍している川崎ブレイブサンダースの辻(直人)選手とは特に仲がいいです。結構はっちゃけるやつで、プライベートでも会ったりしています。
ダンディーな声
よく言われます(笑)。でも、紙一重ですよね。「低くていいね」とも言ってもらえますけど、「低すぎて聞きとりづらいね」とも言われるので(苦笑)。
憧れている選手
日本人では栃木ブレックスの田臥(勇太)選手。自分と同じポジションで、昔から有名ですし、学ぶところがいっぱいあります。中でもゲームメークは本当に勉強になりますね。実際に試合をする時も、田臥さんの思いどおりにゲームが進んでるなと感じますし、どうやったらああいう能力が身につくんだろうって考えさせられます。外国人選手では……なりたい選手という意味でオクラホマシティ・サンダーのラッセル・ウェストブルック選手。オールスターにも出るようなスターで、ジャンプ力とかスピードとか、身体能力がとにかくすごい。同じポジションなんですけど、プレーを盗むとかは無理ですね。本当に身体能力だけでずば抜けたプレーをするので(笑)。
趣味
ドライブが好きです。特に場所を決めずに音楽を聞きながら。洋楽を中心に聞くんですけど、ケンドリック・ラマーとかJ・コールとかをかけたりして。あとは最近、家電を見に行ったりしてますね。見てるだけでも面白くて。パンフレットを集めて家で見たりして、この前は電子レンジを買いました(笑)。
自身の性格
割とポジティブです。でも、そう思い始めたのは最近で、ちょっと前まではシュート1本外すだけで気にしたりしてたんですよ。練習中もそう、小さなミスでトーンダウンしちゃって。それが去年ぐらいから「このぐらいのミスはしょうがない」って思えるようになって、積極的にチャレンジできるようになりました。きっかけとかは特になく、気づいたらそういう感じになってましたね。
Bリーグについて
開幕が近づくにつれてメディア露出が増え、今までバスケを知らなかった人たちも興味を持ち始めてくれていると思います。もともと世界的にも競技人口が多いスポーツですし、これをきっかけに野球やサッカーにも負けないようなスポーツにしていきたいですね。川淵(三郎/Bリーグ初代チェアマン)さんがリーグを一つにしてくれて、これからは僕ら選手がそれに応えるような、ファンの方々を楽しませるプレーを見せていかなければいけないと感じています。
今シーズンの目標
チームとしてはプレーオフ出場です。優勝と言いたいけど、まずはプレーオフ進出を決めないといけないので。個人としては、長いシーズンの中で厳しい状況になることもあると思いますが、キャプテンとしてチームメートに下を向かせないよう、最後までみんなを盛りあげていきます。
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