秋田ノーザンハピネッツが今節戦う舞台は能代市。言うまでもなく、能代工業高校のお膝元である。その能代工高が生んだ日本バスケ界最高のスーパースター田臥勇太が、栃木ブレックスの一員として凱旋を果たす。能代の街にとっても、田臥にとっても一際感慨深いものがあるはずだ。
史上唯一の3年連続高校3冠を達成するなど、無敵と呼ぶにふさわしかった田臥。その田臥が能代市民の前で初めて敗れるとすれば、この秋田戦だ。栃木が前節のアルバルク東京以外で唯一土をつけられたのが秋田。怒とうの得点力が影を潜め、前節も連敗と苦しい戦いが続いているとはいえ、ホームの意地がある。特に、秋田出身の長谷川誠ヘッドコーチは、横浜出身の田臥にここで良い思いはさせたくないはずだ。ともに2試合続けて1ケタ得点の田口成浩とケビン パルマーも発奮するだろう。
栃木は、前節の首位攻防戦1戦目で20点差の快勝。翌日は接戦を落としたものの、主軸の安定感は不変。遠藤祐亮の攻守にわたる活躍という収穫もあった。
“クレイジーピンク”こと秋田ブースターが空間を支配する中で、“第2の故郷”で躍動する田臥のプレーに拍手を送る人も少なからずいるだろう。アリーナは異様な雰囲気に包まれるかもしれない。
文=吉川哲彦