大きな期待を寄せられてサンロッカーズ渋谷に加入した211センチの大型センター、チャド・ポスチュマスは、11月26日の新潟アルビレックスBB戦でわずか8分23秒の出場、2得点を挙げるにとどまった。ここまで4試合で平均7.8得点と、待望のセンタープレーヤーにしては物足りない数字に見える。
補強は果たして成功だったのか。この疑問に、満原優樹はこう答える。「アールティー(グイン)を休ませることができるし、確実にチームのバリエーションは増えた」。その言葉どおり、コート上ではこの2人が入れ替わることが多く、適度に休息が取れるグインは、この日6本の3ポイントを含む今季最多タイの20得点を挙げ、81-76の勝利に大きく貢献した。
ポスチュマス効果はまだある。満原はこう続ける。「自分が5番をやらなくても済むようになった」。インサイドでも勝負ができる198センチの満原は、新潟戦でチームトップの9リバウンドをマーク。強じんなフィジカルを武器に、外国籍選手と互角にわたり合った。もっとも、得意としているのは3番や4番であり、アウトサイドシュートも持ち味の一つとしている。5番での起用を免れることで得点力を発揮し始め、この試合でも14点と2戦連続となる2ケタ得点をマークした。
Bリーグ開幕時は、直前まで日本代表の合宿に参加していた影響もあり疲労困憊だった。しかし、ここにきて「疲れが抜けてきた」という。シーズン中の生活リズムにも慣れてきて、新潟戦は中2日のゲームながら31分間走り続けた。また、代表活動をともにしていたアイラ・ブラウンもこの日は絶好調。チームトップの23得点に加え、8リバウンド7アシスト6スティールと攻守に大車輪の活躍を見せた。
ブラウンも同様に、ポスチュマス加入の恩恵を受けた一人だ。インサイドの仕事が減った分、オフェンスに絡む機会が増え、4試合連続で2ケタ得点を記録。「チームに求められていることをやっているだけ。フリーだったらためらわず打つし、相手よりサイズで勝っている時はその長所を活かしてプレーする」と本人が語るように、迷いのないシンプルな心掛けが数字につながっている。
満原によると「アイラが求められているのは、まず3番の選手とマッチアップした時にシールを狙うこと。そこにボールを入れてシュートに行くのが一番簡単な点の取り方で、、無理だったらボールを回す。今日はそれがしっかりできていた」。チームに忠実に働いたからこそ、7つのアシストが生まれたのだ。
新潟戦はチーム全体で25本の3ポイントを放ち、13本を決められたのが確かに大きかった。ただしアキ・チェンバースとベンドラメ礼生が欠場、キャプテンでエースの広瀬健太が2点に抑えられたことを踏まえると、それらをリカバーできるチーム力の高さを見せつけた試合だったとも言える。
ポスチュマスはまだ目に見える結果を残していない。しかし、既存戦力の底上げという意味ではすでに成果が出ており、その見た目どおり“大型補強”となった。さらにフィットすれば戦術の幅が広がり、グインとの“ツインタワー”でペイントエリアを制圧することも可能だろう。何よりまだ本領発揮に至っていない本人がスターター定着へ闘志を燃やしているはずだ。
文=安田勇斗