1月22日に行われたB1リーグ第17節第2戦で、サンロッカーズ渋谷は仙台89ERSに79-66で勝利。今節の対戦成績を1勝1敗とし、今シーズンの成績を15勝15敗の5割に戻した。
SR渋谷は、スモールラインナップながらハードなディフェンスとクイックネスを活かした速攻を繰りだす仙台に苦しめられたが、第3クォーター残り4分36秒で逆転に成功。2日間とおして初めてのリードを奪い、その後はBT テーブスヘッドコーチが「(前半とは)別のチームのようだった」と話す、巧みな試合運びで仙台の追撃を振りきった。
中でもベンドラメ礼生は、攻めては18得点10アシスト、守っては4スティールの大活躍。年明けからリーグ戦2連敗スタートのチームを勝利に導いた。
この試合、SR渋谷は試合開始直後から仙台に連続得点を与えてしまう。開始2分で0-7と、第1戦に続いて立ちあがりからペースを握られたかに見えた。しかし、そこでベンドラメがチームを救う。「今日はしっかり入りたいと思っていたがやられてしまった。何とかしたいという想いはあった」と語ったとおり、最初の10分間でロバート・サクレとのコンビネーションなどから7ポイントをマーク。第1クォーターは16-20とリードを許す展開の中で一人気を吐いた。
18得点10アシストの“ダブルダブル”を達成したベンドラメだが、特筆すべきは点に絡むプレーが多い中で、仙台にターンオーバーを1つも与えなかったことだ。「ターンオーバーがなかったのは非常に良いことだと思う。今まではインサイドをこじ開けないといけないと思って無理にドライブする場面もあったが、それがなくなった」。こう語る背景には、鳴り物入りで加入した大型センター、サクレの存在がある。「インサイドの選手(サクレ)がいるので、相手のビッグマンがヘルプしづらくなっている。パスフェイクをしただけでセンターに寄るので、中央が空いてうまくドライブできている」
サクレ加入がもたらしたのはそれだけでなく、オフェンスのバリエーションも広がっている。ベンドラメは続ける。「今までのような外周りだけのバスケだと相手も守りやすい。サクレがインサイドに入ることで簡単に攻められるようになった。あれだけリバウンドが取れる選手がいると、シュートも思いきり良く打てる」
2日間で計37得点13アシストの活躍に、テーブスHCは「今までは才能のある選手の1人だったが、この2日間で礼生のステップは一段上がった」とルーキーの成長を認める。オフェンス面での働きがクローズアップされがちだが、「常に狙っている」(ベンドラメ)スティールを含め、ディフェンスでの貢献度も非常に高い。ケガから復帰した12月10日の大阪エヴェッサ戦以降、9試合で30スティールをマーク。1試合平均は3.3スティールとなり、リーグトップの平均2.1スティールを記録する同僚の広瀬健太を大きく上回る数値だ。
2月に北海道で開催されるイラン戦の選考対象となる第2回重点強化合宿の日本代表候補30名からは落選したものの、「協会の方々もこの試合を見てくれているだろうし、また考えを改めてくれることを願いたい」(テーブスHC)と、若き司令塔のさらなる飛躍に期待を寄せた。
“サクレ効果”により、一皮むけたベンドラメ。28日、29日に行われる栃木ブレックス戦では田臥勇太とのマッチアップにも注目が集まるところ。驚異的なスピードで進化を続ける新人賞候補から今後も目が離せない。
文=山口晋平