2016.12.11
東京と柏のダブルフランチャイズだった「日立サンロッカーズ東京」は、Bリーグ開幕を契機にホームタウンを渋谷区とし、チーム名を「サンロッカーズ渋谷」と改めた。渋谷は都内屈指のターミナル駅があり、にぎやかで派手な街。一方のサンロッカーズは前身含め長い歴史を誇る名門クラブ。渋谷区の長谷部健区長はこの“タイアップ”に大きな可能性を感じている。「ストリートカルチャーとバスケットの親和性は非常に高いし、この街に打ってつけだなと思った」。渋谷生まれ渋谷育ち、渋谷を知り尽くす長谷部区長が、サンロッカーズへの大きな期待をこめ、渋谷区との相互発展に向けて力強いメッセージを送った。
インタビュー=安田勇斗
写真=Bリーグ
――渋谷出身とのことですが、子どもの頃、渋谷はどんな街だったのでしょうか?
長谷部 僕が住んでいたのは正確には原宿なんです。もちろん渋谷もしょっちゅう行ってましたけど。小さかった頃は、渋谷は“ただの街”でしたね。表参道ももっと参道の雰囲気がありましたし。その当時は、ここが中心地という意識はありませんでした。テレビや雑誌に出ていてもそこにスペシャルなものは感じていなくて、家の近所くらいに思っていたんです。それが中学生くらいから少し違うのかな、というのがわかってきて。中学は原宿中学校というところに通っていて、部活などで他県のチームと試合をすると、相手が意識している、力んでいるのがわかるんですよね。それから高校大学と渋谷区外の学校に行くようになって、友達に「どこに住んでいるの?」と聞かれて、「渋谷区の神宮前」と答えると、それこそ十中八九ではなく“十中十九”「いいなあ」と言われるんですよ。それがやっぱりうれしかったですね。それが僕の渋谷に対する愛着や誇りである“シティプライド”の根幹にあるのだと思っています。
――当時から“若者の街”という印象はありましたか?
長谷部 ありましたね。その雰囲気がさらに大きくなっていくところを見ていった感じがします。渋谷はターミナル駅ですし、昔から百貨店もあって大きな街でしたけど、僕が小学生の頃に竹下通りにクレープ屋さんができたり、教会があった場所にラフォーレ原宿ができたり、「竹の子族」のブームがあったり。そうやって街が変わってきて、僕自身もそういうストリートカルチャーに触れながら育ってきました。
――では、今の渋谷にはどんなイメージを持っていますか?
長谷部 ますますメガな街になりました。外国人が増えましたし、来る方々、住む方々が多種多様になって、街として発展しながら、成熟してきていると思います。
――区長としてその街をどう変えていこうと考えていますか?
長谷部 さらに成熟した国際都市にしたいと思っています。わかりやすく言うと、ロンドン、パリ、ニューヨーク、そういう都市と肩を並べられるようにしたいなと。すでに肩を並べられている部分、勝っている部分はあると思うんです。でも、渋谷にはニューヨーカーやパリジェンヌみたいな、街に根付く人たちへの呼称はまだありません。それが自然発生的に生まれるような街にしていきたい。渋谷っ子なのか、渋谷人なのか、渋谷民なのか、そういう言葉がどんどん出てくるようにしていきたいですね。
――10月下旬に渋谷駅周辺の再開発についての概要発表がありました。いくつかの高層ビルも建つ予定とのことですが、この件をどのように見ていますか?
長谷部 好意的に見ています。便利になりますからね。ただ、大きなビルは増えますけど、ストリートカルチャーも大切にしていきたいと思っています。ですので、今はホコ天(歩行者天国)についての取り組みも行っています。
――渋谷区は過去に東京ヤクルトスワローズや東京ヴェルディとの合同企画を実施したり、スポーツに力を入れている印象です。
長谷部 そうですね。いろいろな取り組みの中で大きなものの一つです。自分もスポーツマンですし、スポーツはもともと好きで……。
――どんなスポーツをやっていたんですか?
長谷部 大学の時はオーストラリアン・フットボールをやっていました。OGボールを知っている人は少ないですが、オーストラリアの国技なんですよ。サッカーとラグビーの間みたいな競技で、楕円のボールを使ったコンタクトスポーツです。
――スポーツには街を活性化していく上でどんなパワーがあると思いますか?
長谷部 スポーツの語源はラテン語の「Deportare」で、これは気晴らし、発散するという意味なんですよね。その言葉どおり、体を動かすこと、見ることが該当すると思いますが、それを広義で考えて、生活、人生を豊かにするものだと捉えています。自分自身、スポーツに触れてきましたし、好きですしね(笑)。
――バスケットは今までご覧になったことはありますか?
長谷部 見てましたよ。中学生の時にNBAブームがあったので。マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズ)、マジック・ジョンソン(元ロサンゼルス・レイカーズ)、ラリー・バード(元ボストン・セルティックス)なんかのプレーを見てましたね。渋谷区で言えば、宮下公園に「マイケル・ジョーダン メモリアルコート」を作り、コービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)が来日した際には会って話もしました。あと実は、議員になる前にシカゴにブルズの試合も見に行っています。
――いつ頃ですか?
長谷部 22歳か23歳の頃だったと思います。でもその試合で、ジョーダンはベンチにいたんですけど出なかったんですよ(苦笑)。
――そうなんですね(笑)。そのマイケル・ジョーダンの名前を冠したメモリアルコートはどういう経緯でできたのでしょうか?
長谷部 『ナイキ』がスニーカーのリサイクルで陸上トラックなどを作っていて、次に渋谷のど真ん中にリサイクルのコートを作れたら、という話が出たんです。そこで子どもたちがバスケをして、リサイクル活動を知り、NBAを目指してくれたら、というストーリーになればと考え、それをきっかけにナイキと一緒に作りました。
――こうした様々なスポーツの取り組みを進めていく中で、今度はサンロッカーズ渋谷という、渋谷の地名が入ったバスケットボールクラブが誕生しました。
長谷部 もともとはサンロッカーズからお話をいただきました。まだホームアリーナをどこにするか決まっていませんでしたが、ストリートカルチャーとバスケットの親和性は非常に高いですし、この街に打ってつけだなと思いました。“シティプライド”を育んでいく上でローカルだけでなく、広くファンが集まる可能性もありますしね。もちろん応援しますと返事をしました。
――渋谷区としての希望などはありましたか?
長谷部 最初に、チーム名に「渋谷」を入れてくださいとお話しました。それは渋谷の“シティプライド”を高めたいからです。
――それからホームアリーナが青山学院記念館となり、9月に無事にシーズンが始まって10試合が終わりました(2016年10月25日取材)。ここまでのチームの戦いぶりをどう見ていますか?
長谷部 とにかく勝ってほしいですね。これから人気を高めていくことを考えた時に、やっぱりチームが強いことは大事だと思います。その強さを突き詰めてほしい。ただ、ファンを増やす方法は他にもたくさんあります。例えば小さな子どもにファンになってもらうこと。子どもの時にファンだったら大人になってもファンであることが多いですよね。その子どもに見てもらうために、区内の小学校に関わってもらうこともいいかなと。プロ選手として子どもたちに夢を与えられますし、その子どもたちがバスケット選手を目指さなくても、夢を叶えるための努力や心構えは学べます。選手たちにはもっと街に出てもらってそういう機会を作ってほしいですね。こうした活動は、クラブにとっても僕らにとっても良いことだと思います。
――確かにそうですね。その学校との関わり以外に、渋谷区としてはどんなサポートをしていこうと考えていますか?
長谷部 優勝したらセンター街のバスケットボールストリートでパレードをしようという話もありますし、また学校だけでなく様々なところで講演の場などを提供したいと考えています。ヘッドコーチにマネジメントのお話をしていただいたり、トレーナーの方にケガをしない体作りのお話をしていただいたり、プロの視点で区の方々にいろいろなお話をしていただければと思っています。
――クラブに対して、今後はどんなことを期待していますか?
長谷部 さっきも言いましたが、まずは勝ってほしい。それと地域に対してコミットしてほしいですね。やっぱりプロクラブは行政にはない視点を持っていると思いますし、一緒に“街おこし”みたいなことを考えていければと思います。
――こういうクラブになってほしい、というイメージはありますか?
長谷部 渋谷と言えばサンロッカーズと言われるくらい、それこそ街の“景色”になってほしいですね。アリーナの場所もいいですし、これからどう街に根付いていくのか。チームを成長させていく上で、臨機応変の対応も必要になってくると思います。そうした中で、多くの方々に“シティプライド”を持っていただけるように、一緒に大きな目標に向かって行きたいなと。まだまだ一部ですけど、すでに商店街などではサンロッカーズの名前を耳にしますし、僕らとしてもそれは本当にありがたいことだなと思っています。チームを街に浸透させるには、地道なことを積み重ねていくしかないかもしれません。でも焦っても仕方がないですし、僕はクラブと一緒にがんばっていくという想いを貫きとおしたいと思っています。
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