1月28日、ウィングアリーナ刈谷で交流戦らしい地区首位同士の対戦、シーホース三河vsアルバルク東京というBリーグ屈指の好カードが実現した。
強力なインサイドを中心に堅実なハーフコートオフェンスで試合を支配し、西地区の首位に立つ三河と、ガード陣のスピードと個の打開力で東地区を席巻するA東京。対照的な両チームの対決はアリーナに駆けつけた2643人の観衆を魅了した。中でも注目を集めたのは、日本のエースでもある三河の比江島慎と、NBAを知るA東京のディアンテ・ギャレットのマッチアップだ。
Bリーガーに「リーグの中でうまい選手は誰か?」と問えば、必ずと言ってもいいほど名前が挙がる比江島と、Bリーグ開幕戦でバスケットボールファンを釘付けにしたギャレットの対戦だけに、いやが上にも盛りあがる。
試合は両チームが持ち味を活かした好ゲームとなったが、第3クォーターでシュートが入らなくなった三河が、フラストレーションを溜めてミスを連発。これを失点につながって一気に突き放されると、最後までペースを戻せずに69-81と苦杯をなめた。
試合後の記者会見に臨んだ比江島は「ターンオーバーの数」を敗因に挙げた。「ターンオーバーをイージーレイアップにつなげられてやられてしまった。本当にそこだけ。そこをなくせば勝てる」と悔しさをにじませた。
かねてから楽しみにしていたというギャレットとの初のマッチアップについては、ストレートな感想を口にした。「やっぱり、単純にうまいと思った。今までマッチアップしてきた相手とはリズムから何からすべてが違うと感じたし、余裕を持ってプレーしていた。やっていて楽しかったけど、勝たないといけない相手だった」。続けて「ディフェンスから入ろうと意識していた。最初はうまく守れていたが、勝負どころでは流石だなと感じた」と、11得点に加えて4スティール5アシストを決めるオールラウンドな活躍には敬意を表した。
三河の鈴木貴美一ヘッドコーチは「比江島君とギャレットの戦いは私自身も楽しみにしていた。結構、比江島君も点数を取っていたし、ちょっと勝負どころでの駆け引きにやられただけで、決して負けていたわけではない」と3ポイント4本を含む20得点4スティールを記録したエースに対する強い期待と信頼を寄せた。
ギャレットは初めてマッチアップした比江島について、日本人には数少ない“局面を打開する力”を持っていると高く評価するコメントを残しており、A東京のミーティングでも、比江島の持つ多彩なステップワークや正確なアウトサイドシュートを武器とした高いオフェンス能力を警戒したと振り返る。
三河を率いる名コーチに期待され、元NBAプレイヤーも一目置く比江島。その飄々とした素振りやのんびりとしたしゃべり口からは伝わりにくい部分もあるが、注目の一戦に敗れた悔しさを言葉の端々に感じさせた。手強いライバルの出現は比江島をさらなる高みへと誘うはずだ。
文=村上成