ダブルオーバータイムの激闘制した栃木、泥臭く決勝点を決めた渡邉「“持ってないな”と思った」

セカンドオーバータイムに決勝点をマークした栃木の渡邉裕規 [写真]=B.LEAGUE

 1月29日に行われたB1リーグ第18節第2戦で、栃木ブレックスは敵地青山学院記念館でサンロッカーズ渋谷と対戦。ダブルオーバータイムにもつれこむ接戦の末、82-78で勝利した。前日は得点源であるライアン・ロシターを6得点に抑えこまれながらも辛くも逃げきった栃木。この日も粘るSR渋谷を振りきり、苦しみながらもアウェイでの連勝を達成した。

 互いに厳しいディフェンスを基盤としたゲームプランを敷いたため、タフな展開となった2日間の激闘において、栃木の渡邉裕規は第1戦ではゲームハイの18得点、この日も14得点と出色の活躍を見せた。

 第2戦では第3クォーターまで3得点と沈黙していたが、第4クォーターに7得点と本領を発揮。3ポイントを含む3本のシュートを100パーセントの確率で沈めた。さらにセカンドオーバータイムでは勝ち越しとなる貴重なフリースローなど続けざまに4ポイントをマーク。貴重な勝利に大きく貢献した。

 栃木の武器と言えば、キャプテンの田臥勇太を中心としたパッシングゲームが思い浮かぶ。この日対戦したSR渋谷のBT テーブスヘッドコーチも「ボールを動かすオフェンスは栃木の方が上」と認める中で、在籍4シーズン目となる渡邉も中心的な役割を担っている。「自分が出る第1クォーター終盤から第2クォーターは得点が停滞することが多い。うまくボールを動かしてゲームを作りたい思っている」と、本人もセカンドユニットの司令塔としてオフェンスの活性化を意識している。

 コート上の5人が見事に連動する栃木のオフェンスは、日頃の練習で徹底して取り組んだ成果のように見えるが、渡邉は「普段のトレーニングでそこまで時間は取っていない」と意外な事実を語った。田臥をはじめ、古川孝敏遠藤祐亮らチーム在籍歴の長い選手が攻撃のベースを形成しているため、竹内公輔ジェフ・ギブスといった新加入選手がコートに立ってもその精度が落ちないのだろう。

 この点について渡邉はこう説明する。「公輔さんは日本代表だったり、ジェフも(昨年まで在籍した)アルバルク東京で近いオフェンスをやっていたと思うので、練習などで意識しなくてもある程度合わせていける」。もちろん新チーム結成から半年しか経っておらず、課題がないわけではない。「例えば(オールジャパンで)千葉ジェッツに負けた時など、良くない時はボールがうまく動かせていないのはわかっているので、ハンドオフやカットなど、人とボールが動くように(ゲームメークを)意識している」

 セカンドオーバータイムでは3ポイントシュートを打って、落ちたボールを自ら拾って決め、これが決勝点となった。「(最初の3ポイントシュートで)決められれば良かったけど、決められないのがさすが“持ってないな”と思った」と笑わせたが、勝利を手繰り寄せる泥臭いプレーは、チームを勢いづかせる。

 栃木は東地区でA東京と熾烈な首位争いを繰り広げている。プレーオフに向けては「こういう難しい試合の積み重ねが大事。プレーオフではこれよりもさらに1秒1秒が緊迫した場面が出てくるはずだし、最後の最後で勝つためには今日のような勝利が活きてくる」とコメント。「今後に向けて非常に良い経験となった」と語ったトーマス・ウィスマンHCの意見に同調する。

 A東京が今節1勝1敗に終わったため、栃木がゲーム差を1に縮めた。首位攻防戦となる2月22日の直接対決は激戦必至だ。

文=山口晋平

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