A東京がSR渋谷に32点差完勝、伊藤HCはダービー2連勝に向け「気を引き締め直して戦う」

敵地での“渋谷ダービー”連勝を目指すA東京。伊藤拓摩HCは警戒を強めた [写真]=B.LEAGUE

 3月18日に行われたBリーグ24節第1戦、アルバルク東京サンロッカーズ渋谷を95-63で下し、チャンピオンシップ進出のマジックを3とした。

“渋谷ダービー”と銘打って開催されたこの試合。舞台となったSR渋谷のホームアリーナの青山学院記念館には、クラブ史上最多となる4377人の観客が詰めかけた。

 試合は立ちあがりから大きな動きを見せる。A東京がボールに対する厳しいプレッシャーとディナイにより、SR渋谷の攻撃を完全に遮断。第1クォーターだけで10個のターンオーバーを誘発し、一方で松井啓十郎の3連続3ポイントシュートを含む25ポイントを連続で記録する。A東京の伊藤拓摩ヘッドコーチは、27-3で終えた最初の10分間をこう解説する。「シュートがよく入ったこともあり、でき過ぎだった部分はある。ただ、ディフェンスで正中(岳城)が先頭に立ってプレッシャーを掛け続けてくれたおかげで良い攻撃につながった」。さらに正中自身も「自分の強み(ディフェンス)を評価されてコートに立っているので、役割を果たすことに集中した」と語った。

ディフェンスで貢献した正中岳城 [写真]=B.LEAGUE

 第2クォーターは時間帯によって外国籍選手をゼロにするスモールラインナップでトランジションに活路を見出したSR渋谷に反撃される。攻守の切り替えにスピードが加わった相手に20点を許すも、A東京はトレント・プレイステッドのインサイドの強さを活かして18点を積みあげ、45-23とリードを保ったまま前半を折り返した。

 後半は何とか挽回したいSR渋谷に対し、A東京が終始リードを保持し続ける展開。第3クォーターはプレイステッドに替わってジェフ・エアーズが巧みなポストプレーでインサイドを支配し、この10分間で8得点3リバウンドの活躍を見せた。

ジェフ・エアーズはこの試合、12得点4リバウンド2アシストを記録 [写真]=B.LEAGUE

 67-43の24点リードで突入した第4クォーターは、時間を使いながら巧みなオフェンスで得点を重ね、SR渋谷に流れをわたさない。攻撃を終始リードしたディアンテ・ギャレットが圧巻のテクニックを見せ、12得点をマーク。第1クォーターで大量24点差を付けたA東京がその差を32点に広げ、最終スコア95-63で勝利を収めた。

 A東京は正中を中心としたディフェンスに加え、ギャレットを軸とした素早いボールムーブからの多彩なオフェンスが光った。伊藤HCは「シュートの確率も良かったが、非常によくボールが動いていた。シュートセレクトと持ち過ぎずにボールを離すタイミングが素晴らしかった」と称賛。それでも、「明日は今日とはまた別の試合なので、気を引き締め直して戦いたい」と警戒を強めた。

攻撃をけん引したディアンテ・ギャレット [写真]=B.LEAGUE

 一方のSR渋谷は、BT テーブスHCが「ビッグマンをはじめ、我々が遂行すべきディフェンスのミッションを全く果たせていなかった。オフェンスではオフボールの選手の動きが悪く、効果的にボールを動かすことができていなかった」と語ったように、攻守両面で課題が浮き彫りとなった。伊藤駿も「相手のディナイがかなりうまいところに入ってきて、パスの出しどころがない場面が多かった。4番、5番の選手ともっと連係しないといけない」と、オフェンス面での高い連動性が必要であると説明した。

 戦前からA東京が優位と予想されていたものの、思わぬ大差が付いた“渋谷ダービー”。伊藤は「やっぱりA東京には負けたくない。明日は最後まであきらめない姿勢を見せてアグレッシブに戦いたい」とリベンジに意欲を見せた。

文=山口晋平

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