2017.08.10
2017年1月、日本に“大物助っ人”がやって来た。NBAの名門として名高いロサンゼルス・レイカーズで2012年から4シーズンにわたってプレーし、通算189試合に出場した213センチ118キロの大型センター、ロバート・サクレだ。コービー・ブライアントをはじめ世界最高峰の実力者たちとしのぎを削ったサクレがサンロッカーズ渋谷、そして日本のバスケットボール界に何をもたらすのか。SR渋谷浮沈のカギを握る元NBA選手に迫った。
インタビュー=山口晋平
写真=Getty Images、B.LEAGUE
――バスケットボールはいつから始めましたか?
サクレ 11歳頃から始めて、今と同じセンターのポジションでプレーしていました。小さい時はラグビー、水泳、サッカーなども経験しましたが、年を取るにつれて他のスポーツができないと感じたので、バスケに一本化しました。
――もともと背は高かったのですか?
サクレ 小さい頃からずっと大きかったです。父親がプロのアメフト選手で、母親は大学でバスケをしていたので、その影響もあると思います。また、人よりもたくさん食べることを日々意識していました。
――その後はゴンザガ大学を経てNBAのロサンゼルス・レイカーズで4シーズンにわたってプレーしました。印象に残っている選手はいますか?
サクレ チームメートのスティーブ・ナッシュ(元レイカーズ)は本当にシンプルにプレーしていて、自分たちを楽しませてくれました。彼に従ってボールをつなぐだけで、簡単に点が入っていたんです。また、パウ・ガソル(現サンアントニオ・スパーズ)やドワイト・ハワード(現アトランタ・ホークス)といったいずれ(NBAの)殿堂入りをするような選手とマッチアップできたことは思い出に残っています。
――彼らのすごかったところは?
サクレ パウ・ガソルは身長が213センチあるにも関わらず、ウィングスパンがとても大きく、得点を取れるスキルがあります。筆舌に尽くしがたいというか、表現できないようなすごい選手です。
――チームメートにはコービー・ブライアント(元レイカーズ)がいました。
サクレ どんなに小さなことでも、とにかく勝ちにこだわるということは彼から教わりました。練習でも徹底的に勝ちにこだわる姿勢は彼から学び、それは今も意識しています。
――NBA時代は試合中にベンチでチームを盛りあげるシーンも印象的でしたが、試合で心掛けていることはありますか?
サクレ 常にゲームとつながっているということを心掛け、コート内の選手と同じ感情を持っていました。そうすることで、自分の出番が来た時に同じ気持ちでコートに入っていけました。
――レイカーズ時代はムードメーカーだったのですか?
サクレ レイカーズだけではなくどこに行っても、常にムードメーカー的存在でした。ただバスケットボールが好きだということです。好きなので、熱意を持って一生懸命プレーできる、それは自分の性格でもあると思います。また、人生は短いので、アンハッピーでいるよりも、ハッピーでいた方が良いと思っているからです。
――SR渋谷の話に移ります。正式オファーが来た時期とその時の率直な感想を教えてください。
サクレ 私の耳に入ってきたのは、昨年の11月下旬か12月上旬だったと思います。その時はとても驚きましたが、バスケットボールを続けていて、日本という素晴らしい国からオファーが来たので、迷うことなく入団を決めました。
――それまでBリーグの存在はご存知でしたか?
サクレ アイラ・ブラウン(SR渋谷)やジョシュ・ハイトベルト(元SR渋谷)など同じ大学の仲間が日本にいたので、2つのリーグが統一して新しいリーグができたことは知っていました。しかし、聞いていただけで実際に試合は見たことがなく、レベルもわかりませんでした。
――1月18日の川崎ブレイブサンダース戦でBリーグデビューしました。その時の率直な感想を聞かせてください。
サクレ 日本人が外国人と激しくマッチアップする場面もあるので、リーグとしては中国くらい大きくなる可能性を秘めていると思います。その中で日本人がもっと広い考えを持つことが必要です。プレーしている時に考え過ぎている傾向があるので、自然にプレーすることで得られることもあると思います。
――判断力やシンキングスピードを養うということですか?
サクレ 言葉で表すのは難しいですが、リード&リアクトといって、起こった状況に対して自分たちが自然に反応するということです。「こうだからこうしなくちゃいけない」という決められたプレーではなく、その場に応じた状況判断や感覚的なものが必要です。
――Bリーグの試合会場やファンの雰囲気はいかがですか?
サクレ 日本のアリーナの雰囲気は好きですね。まだ出場数は少ないですが、子どもたちがよく叫んでいた印象があります。まだまだ時間は掛かると思うのですが、それぞれのチームがお客さんの層を広げて、その子どもたちが成長していく、そしてその下の世代も試合を見ることによってバスケットボールが根付いていくと思います。
――日本での生活はどうですか?
サクレ 生活はとても充実していますし、普段は自転車に乗っていろいろなところに行っています。あとはみんなが本当に優しく親切に接してくれますし、安全で素晴らしい国だと思っています。
――日本に来ることに対して不安なこともあったと思います。
サクレ 家族がいるので、言葉が通じないことが懸念点でした。ただ、バスケットボールに関しては、どこの国に行っても同じバスケットボールなので大丈夫です。
――日本の電車には乗りましたか?
サクレ はい。乗っている人を驚かせたかもしれません(笑)。自分の存在に気づかれることはありませんが、みんなが自分の体を見て、「すごい」といった感じで驚いています。
――最後に、日本バスケットボール界の今後に向けて自分自身ができることを聞かせてください。
サクレ まず自分にできることは、今は国際化の風潮があるので、その助けになれればと思います。日本は野球、サッカーが有名で、バスケは3番目以下のスポーツです。そこの順位を上げられるように、いろいろな人にエキサイティングな試合を見せていきます。
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