【比江島慎 短期集中連載第3回】Bリーグ初代王者を目指してCSへ、今一番対戦したくない相手は……

レギュラーシーズンも佳境を迎え、5月13日からはいよいよチャンピオンシップ(以下CS)がスタートする。シーホース三河は早々に西地区優勝を決めCS出場権を獲得。Bリーグ初代王者へ向けて着々と準備を進めている。ビッグタイトルを手中に収めるため、さらなる活躍が期待される比江島慎も、「徐々に状態が上がってきてる」と感覚をつかみつつある。「どのチームと対戦することになっても、やるしかない」と気を引き締める背番号6が大舞台を前に、チームの状態や今後の展望を語った。

インタビュー=武藤仁史
写真=黒川真衣、Bリーグ

――Bリーグ初代王者を決定するCSが、5月13日からスタートします。頂上決戦を間近に控えて、チームの状態をどのように感じていますか?
比江島 チームはいい状態にありますね。ケガ人がいる中でも、しっかり控えの選手が準備できていて、代わりに出場する選手が活躍している試合も多い。それに刺激されながら、僕らもいいプレーができています。ケガ人が帰ってくれば、本当にパワーアップしたシーホース三河が見られると思います。

――比江島選手ご自身の状態は?
比江島 調子はまあ、いつもどおりです(笑)。ただし直近のパフォーマンスでは、1試合良くて1試合悪いというサイクルが続いています。そこは反省しないといけません。

――直近の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦(4月8日、9日)、琉球ゴールデンキングス戦(4月15日、16日)の2カードでも、1試合目のパフォーマンスに比べて、2試合目は調子が上がっていないと感じました。
比江島 そうなんです。チームは連勝してるんですけど、個人としては2試合とも良かったいうカードがあまりない。自分でもパフォーマンスが少し不安定だなと感じています。とはいえ、調子のいい時は本当にいいプレーができているので、そこは継続していきたいと思います。

――2連戦でパフォーマンスが安定していないのは、どこに要因があると感じていますか?
比江島 1試合目が良くて2試合目が悪いというカードが続いているので、少なからず相手チームに研究されていると思います。また2連敗を阻止するために、相手のプレッシャーがより強くなることが要因としてあるかもしれません。あとは1試合目に力を注ぎ過ぎているのか、2試合目だと単純にシュートタッチが悪いこともあります(苦笑)。CSの準決勝までは2戦先勝のレギュレーションになるので、やはり2戦とも調子を良くしないといけないと感じています。

――連載の第1回目(https://basketballking.jp/news/japan/20170410/11105.html/3月7日取材)では、自分の理想と実際のプレーにギャップがあると語っていました。その差は埋まりつつありますか?
比江島 当時よりは上向いていると思います。確率良くシュートを決められていますし、しっかりゲームメークもできている。CSに向けて、徐々に状態が上がってきてると思います。

――チーム事情や試合の流れに応じて、得点以外の貢献も求められていると思います。
比江島 そこは常に意識してプレーしたいというか、やらなきゃいけないと思っています。ドルフィンズ戦(4月9日)で金丸(晃輔)さんが負傷退場したケースもありましたが、例えば金丸さんがいない時間は、当然自分へのマークが厳しくなる。そういう場合は、僕にしっかりとディフェンスが寄ったところでアシストを狙うようにプレーしています。逆に金丸さんが出てる時は僕に対するマークが薄れるので、自分で得点を奪うように意識していますね。

――シュートタッチの感覚が悪いと感じる試合があると言っていましたが、そういう時はチームを勝利に導くために、どのように自身のプレーを調整していくのですか? 例えばプレースタイルを変化させて適応させるのか、はたまたシュートを打ち続けることで感覚を取り戻すのか。
比江島 僕の場合は、シュートを打たないことが多いですね。ドライブに切り替えてアシスト数を増やしたり、よりディフェンスに注力したりと切り替えるようにしています。シーホースには点を取れる選手が多くいるので、僕が無理に打つ必要はないんです。

――今シーズンは1試合平均得点数、アシスト数、リバウンド数で比江島選手のキャリアの中でも高い数字を残しています。自身でも納得できる数字ではないでしょうか?
比江島 そうですね。得点はもっと取らなければいけませんが、それ以外の数字は悪くはないと思っています。ただしこの数字に満足したら、ここから成長できません。決して現在の数字に満足することはないですね。

――レギュラーシーズンが佳境を迎え、CSの出場チームが絞られてきています。意識するチームはありますか?
比江島 やっぱり1回戦で当たるチームが気になります。東地区のアルバルク東京千葉ジェッツと対戦する可能性があるので、その2チームは意識しています。ただし僕らがまだ自地区1位の3チーム内で1位になる可能性が残っているので、そこを目指す方が重要です。正直CSでどのチームと対戦することになっても、やるしかないですから(笑)。

――CSはトーナメント方式になります。短期決戦におけるチームの強みを教えてください。
比江島 難しいですね……。シーホースはプレータイムの長い選手がいますし、それに(桜木)ジェイアールはもう40歳になります。そういう状況を考慮すると、試合数の少ない短期決戦の方がより力を発揮できると思います。経験豊富なコーチやジェイアール、柏木(真介)さんもいるので、一発勝負の怖さもわかっていると思います。その点は有利ではないかと思いますね。

――NBL時代にもプレーオフを経験しています。NBLプレーオフで印象に残っている試合はありますか?
比江島 トヨタ自動車(現A東京)と戦った試合は毎回印象に残っています。レギュラーシーズンでは負け越してるけど、プレーオフでは勝ち越したりと、常にライバルチームのような関係性でしたから。トヨタとの試合は、毎回本当に疲れますね。

――現在のA東京の印象を教えてください。
比江島 外国籍選手が入れ替わったので、今は連係を合わせている最中だと思います。とはいっても、ディフェンスが安定しているチームなので、強いのはもちろん強いですよね。

――シーホースを優勝候補に推す声も出てきています。
比江島 川崎ブレイブサンダースが優勝の第一候補なのは間違いないと思います。シーホースが川崎に勝利した試合では(ライアン)スパングラーが欠場していたので、あの結果も当てにならない。また川崎と並ぶくらい、今の千葉には勢いがありますね。正直、千葉が一番対戦したくない相手です。

――シーホース三河が優勝するために必要なことは?
比江島 オールジャパンで千葉に負けた時は、シュートが全然入らなかったんです。そういう時にはシュートが入らないなりのプレーを、チーム全体でしなければいけなかった。そこで我慢しきれなかったんです。シュートが入らない時でも、ディフェンスで粘って勝つことができれば、シーホースはもっといいチームになると思います。シュートが入らない時間帯に我慢できるかというのが課題ですね。そこでしっかりノーマークを作ってあげたり、ディフェンスで相手のシュートを落とさせることが、僕の仕事になってくると思います。

――最後に、CSへの意気込みをお願いします。
比江島 (クォーターファイナルとセミファイナルで適応される2戦先勝方式は)Bリーグになって初めてのレギュレーションになるので、何とか2戦で勝ちきりたいと思います。ホームコートアドバンテージを活かして、ファンの皆さんとともに戦って勝ちたいです。そしてBリーグの初代王者は、本当に輝かしい称号だと思います。そこは、狙っていきたいです。

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