2017.04.10
2月10、11日に北海きたえーるで行われた男子バスケットボール日本代表の国際強化試合、イラン代表戦は1勝1敗で幕を閉じた。初戦を85-74と快勝した日本だが、第2戦はアジアの強豪として意地を見せた若手中心のイランに68-73と惜敗。チームとしての課題が明確になり、収穫の多い試合だった。次の代表戦は6月の東アジア選手権。代表選手はBリーグ各クラブへと戻り、それぞれの課題に取り組むことになるわけだが、日本のエース、比江島慎(シーホース三河)は、自身の課題を的確に捉えている。
個の力でゲームを作る力がある比江島は、190センチ88キロとサイズがありながらも、ポイントガードもこなす器用さと視野の広さを併せ持つ。日本のバスケットボール界においてPGは、富樫勇樹(千葉ジェッツ)や田臥勇太(栃木ブレックス)などクイックネスとボールハンドリングに優れる小柄な選手が務めることが多い。その中で身長が高い上にPGでもプレーできる比江島は、フィジカルで劣る日本が世界と戦う上で貴重な存在となる。
比江島はイラン戦において、初戦は21分の出場で4つのスティールを決めるも6得点。2戦目は出場時間15分で12得点を挙げたが、田中大貴(アルバルク東京)の28分、馬場雄大(筑波大学)の25分、富樫の24分に比較するとプレータイムを確保できなかった。試合後のミックスゾーンに現れた比江島はその点について質問を受けると、「三河と日本代表は違うので戸惑いはある。慣れるのに時間が掛かるので、そこは課題」と、チームスタイルの違いに、十分に順応しきれていないことを問題点として挙げた。
比江島が所属する三河は、西地区首位に立つBリーグの強豪チームだ。桜木ジェイアール、アイザック・バッツ、ギャビン・エドワーズなどの強力なインサイドを中心としたハーフコートバスケットボールを得意とする。攻撃の起点は、アシストランキングで富樫とともにリーグトップの平均4.1本を挙げる桜木が担う。ローポストの桜木にボールを入れて、しっかりと組み立てる三河と、ピック&ロールを使いながら、横にボールを動かす日本代表のバスケットは戦術上明らかに異なる。
それでも、「自分の中で、もっともっとシュートの本数を増やすことを意識した」と語ったとおり、比江島は初戦の反省を活かして2戦目はより少ない出場時間の中で、初戦を上回る得点を挙げた。この日の得点は第4クォーターに凝縮されており、戦局を分ける場面での比江島の勝負強さとポテンシャルの高さを印象付けた。
「ゴールにアタックするイメージをもっともっと持たないといけない」と述べる比江島。彼のプレーが日本代表のルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチが求める水準に達し、コーチのこだわる「一貫性」をキープできれば、2020年東京オリンピックも見えてくるはずだ。代表戦明けのBリーグでは、比江島のさらなる活躍に注目したい。
文=村上成
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