10月7日、青山学院記念館でBリーグ第2節、サンロッカーズ渋谷vs三遠ネオフェニックスの試合が行われた。“渋谷にバスケがやってきて”から1年。渋谷という日本有数のアイコンにプロスポーツチームがやってきたことも、青山学院大学を活用してのプロスポーツの興行ということも画期的な話であり、バスケットボール界のみならず、大きな話題を呼ぶこととなった。表参道という好立地もあり、Bリーグに興味をもったライト層が気軽に観戦に行くことができるアリーナとしての側面もある青山学院記念館。SR渋谷のホーム開幕戦となったこの日、駆けつけた2500人には、チームカラーである黄色のタオルマフラーやTシャツを身に着けた熱量の高いファンの姿も多く見受けられ、“気軽に見に行けるチーム”という効能に加え、ロイヤリティの高いファンの醸成にも成功している様子がうかがえた。
前節の開幕戦、大補強を敢行した琉球ゴールデンキングスとの連戦で、今季の目玉チームを相手にアウェーで1勝1敗というまずまずの結果を残したSR渋谷。ホームゲーム初戦に期待を寄せる大勢のファンの前で、小気味よいバスケットを展開したいところだが、第1クォーターを12-14、第2クォーターを11-9、前半で23-23という超ロースコアで折り返す。SR渋谷、三遠ともにシュート精度が悪く、特にオフェンスの構築に課題を抱えており、ボールは動くものの、人が動かない。単発の1on1での仕掛けによる得点が多く、第3クォーターになっても膠着状態が続く。
この悪い流れを変えたのはベンドラメ礼生と山内盛久のガードコンビだ。オフェンスのリズムが悪いならばと、三遠のガード陣に対し、激しいプレッシャーを与えて、ボールを奪うと連続得点。特にベンドラメは重要な局面で積極的に仕掛けるとファウルを受けながらも難しいシュートを立て続けに決めて、流れを大きく自チームへと引き寄せた。
しかし、第4クォーターになると三遠のカルティエ・マーティンが迫力あるドライブでゴールへ突進。SR渋谷はこれを防ぎきれず、フリースローを続けざまに与えると、試合は再びシーソーゲームに。SR渋谷はディフェンス時には、よく足が動き、素早いローテーションで容易にはシュートを許さない統率された動きを見せる。厳しい守備で活路を見出そうとするSR渋谷だったが、三遠のマーティン、田渡修人に3ポイントシュートを沈められると、最後まで挽回するすべがなく、66-72で敗戦。ほろ苦いホーム開幕戦となった。
敗れたSR渋谷の勝久ジェフリーヘッドコーチは「ホーム開幕戦で勝つことができず、悔しいです」と話すと、「後半49点を与えたのは僕たちのバスケットではないです」。開幕から停滞するオフェンスの改善点についての質問には「ペイントにアタックする選手が少ない。ガードはアタックはする選手がいるが、ビッグマンもペイントアタックが、もう少し必要だと思う」と打開策を語った。
“バスケの街”渋谷を定着させるためにも、魅力あるバスケットボールの展開はSR渋谷の義務となる。そのためにもチームケミストリーの構築が急務。さらなるチームの成長に期待したい。
文=村上成