3月10日、B1リーグ第22節が各地で行われ、アリーナ立川立飛では東地区1位のアルバルク東京が同地区4位のサンロッカーズ渋谷と対戦した。
日本代表戦開催によるバイウィークを挟んだ前2節に欠場した竹内譲次がコートに戻ったA東京。ザック・バランスキーが体調不良で欠場となったが、試合開始から積極的にSR渋谷ゴールにアタックを仕掛けた。先べんを切ったのは菊地祥平。菊地のドライブインで先取点を奪うと、復帰の竹内がリバウンドとディフェンスでハッスル。リードを奪い、A東京ペースで試合を進める。
しかし、この日のSR渋谷は持ち前のディフェンスの強さを発揮して離されない。第2クォーターはA東京にイージーシュートをさせず、ジリジリとシュート確率を下げていく。オフェンスではロバート・サクレが8得点、広瀬健太が5得点の活躍を見せ、34-40の6点ビハインドで前半を折り返した。
後半に入ってもSR渋谷の粘りは衰えない。機を見てのチェンジングディフェンスも奏功し、A東京のミスを誘発させてセーフティーリードを許さない。第4クォーターのスタート時に12点あった点差は残り時間1分18秒、サクレがフリースローを2本決めた時点で「4」にまで縮まっていた。さらに試合時間が1分を切った後、ジョシュ・ハレルソンが3ポイントシュートを決め、ついに1点差まで詰め寄った。
残り時間13秒、ファウルゲームに出たSR渋谷に対し、この日、チーム最多の19点を挙げた菊地が落ち着いて4本のフリースローを決めて逆転を許さない。SR渋谷は長谷川智也がアンスポーツマンライク・ファウルを犯すなどして、追撃の手だてを失った。
前節、今シーズン初の連敗を喫したA東京だったが、SR渋谷を振りきり勝利。先に試合が終わり、勝利していた千葉ジェッツに首位の座を明け渡すことはなかった。
「ゲームの入りで、A東京がトランジションを仕掛けてきたので面食らった面があった。A東京はピック&ロールを使ったセットプレーが多かったので、その準備ができてなかった」と語ったのは、敗れたSR渋谷の勝久ジェフリーヘッドコーチ。「ただし、後半はA東京のフィジカルなディフェンスに対応でき、オフェンスでもアタックできたので、このメンタルで明日は第1クォーターから臨みたい」と、気持ちを切り替えていた。
A東京のルカ・パヴィチェヴィッチHCは「厳しい試合だったが、この勝利は大きい。試合開始から最後までゲームをコントロールできた」ことを勝因に挙げた。「ただし、ターンオーバーからイージーな得点を許した場面もあった。また、ディフェンスリバウンドが取れず、セカンドショットも決められた」と、試合の反省も欠かさなかった。
「新潟に連敗しても準備の方法は変わらない。代表選手も含めて、全員で戦うこと。自分たちのバスケをやり抜くことを再確認して臨んだ試合だった」と明かしたのはルカHC。この試合の殊勲者、菊地に話が及ぶと珍しく破顔一笑と表情を崩し、「今日はいい仕事をしてくれた。彼はチームナンバーワンのディフェンダーであり、ハードワーカーだ。今日の試合も相手のシューターやスコアラーをきっちり抑え、オフェンスでは1対1やトランジションを見せてくれた」と、そのパフォーマンスを手放しで称えた。
東地区の順位争いの激しさはレギュラーシーズンの最後まで続いていくだろう。チームの危機とは言えないまでも、急停車してしまったチームの立て直しに成功したA東京。アクセル全開で再スタートを切り、ラストスパートを開始する。
文=入江美紀雄