毎節、Bリーグのタフショットを厳選してピックアップする「BEST of TOUGH SHOT Weekly TOP5 presented by G-SHOCK」。Bリーグ2017－18シーズンの第25節から選ばれたタフショットトップ5を大塚商会アルファーズ（B3所属）の青野和人ヘッドコーチに解説してもらった。
解説＝青野和人（大塚商会アルファーズ ヘッドコーチ）
写真提供＝Bリーグ
【5】流れのいいボールの動きから出た#23野口大介選手の力強いフィニッシュ（レバンガ北海道vsサンロッカーズ渋谷）
SR渋谷の激しいディフェンスに北海道はバックドア（ディフェンスの裏を走り抜ける）で対応する。第3クォーター残り6分45秒、ここでも#11桜井良太選手がディフェンスをバックドアで振りきってボールをもらい、ディフェンスを引きつけてノールックでビハインドバックパス。#23野口選手がボールをもらうと、チェックされながらも対空時間を長く使ってシュートをねじこんだ。ディナイディフェンスにはバックドアが基本とはいえ、パスを出すタイミングとスペースが難しいプレー。北海道は連携プレーが良くできるチームの1つで、簡単にやっているように見える。特にこの1分間は#23野口選手を筆頭に、バックドアプレーが面白いように決まる内容の濃いものだった。
【4】#32桜木ジェイアール選手の技ありダブルクラッチリバースショット（シーホース三河vs名古屋ダイヤモンドドルフィンズ）
往年のような動きはないものの、単に帰化選手のサイズのアドバンテージではなく、ゲームの支配力でアドバンテージを取れる貴重な存在であり、誰もが認めるバスケットセンスの塊である。ここでもポストでボールをもらう時に内側を見てからキャッチすると、すぐにベースライン側にスピン。ドリブル2回でディフェンスを抜き去ると、バックシュートにいくタイミングで踏みきり、落ちながらシュートを打つ、ダブルクラッチショットを決めた。ここではフィジカルの強い選手に対して力で押しこむのではなく、すべて「外側」にアタックしている。キャッチの瞬間も左足を軸にスピンし、ドリブル後も左肩でディフェンスからボールを守り、ディフェンスから一番遠いところで、右手でシュートを放った。#32桜木選手は41歳のベテランで、203センチ105キロのサイズを誇りながらこのようなテクニックを持っていて、ショットクロックにも焦らずとても落ち着いてシュートを打てている。本当に的が絞りにくい選手だ。
【3】#13セドリック・ボーズマン選手の、角度のないところから決めた執念のバスケットカウントフローターショット（アルバルク東京vs栃木ブレックス）
終始接戦のゲーム展開でA東京に一歩リードを許す。オフシャルタイムアウト後の第4クォーター残り4分50秒、#13ボースマン選手が#10ザック・バランスキー選手の当たりの強いディフェンスに対してポストアップを選択。力強くドリブルでぶつかった瞬間、ベースライン側にスピンをした。#10バランスキー選手は体勢を崩さず、もう一度しっかりとスライドしてついてきた。しかし、#13ボーズマン選手は早く飛びあがりながらフローターショットを狙い、ブロックショットを警戒して低くまっすぐ投げたボールはリングに吸いこまれた。1on1では相当なプレッシャーが掛かっている中で、バランスを崩さずに冷静に打って決めた#13ボーズマン選手。#4ジェフ・ギブス選手の欠場の穴を感じさせないほどの集中力と、強気に得点を取りにいく姿に、チームメートは影響され素晴らしい試合は続いた。
【2】#3藤高宗一郎選手が決めた速攻からのダンクシュート（大阪エヴェッサvs琉球ゴールデンキングス）
#3藤高選手の身体能力の高さにはいつも驚かされる。チップアウト（弾かれた）されたディフェンスリバウンドを#14橋本拓哉選手が取り、そのまま前を走る#3藤高選手へ早いパス。ボールを受けた#3藤高選手はスピードを殺さず、ディフェンスを横目に豪快なダンクシュートを決めた。1つ前のプレーではバックドアプレーからの打点の高いレイアップシュートを決めており、#3藤高選手の良さが詰まった時間帯となった。立ちあがって彼の活躍を祝福するベンチメンバーの姿を見ると、3月に入って先発起用が増え、着々とチームの信頼を受けているのがうかがえる。
【1】怒とうの攻撃の中、止めようがない#45デクスター・ピットマン選手の速攻からのワンハンドダンク（富山グラウジーズvs新潟アルビレックスBB）
第4クォーターは2、3点差を行ったり来たりの展開。残り3分30秒、富山の激しいディフェンスが機能する。ガードだけでなくビッグマンも素早く動き、ヘルプに来た#45ピットマン選手がリバウンドをチップアウトして速攻のチャンス。サイドにボールが飛んだ後、走りこんで来た#45ピットマン選手がボールをもらうと、ランニングステップで強烈なダンクシュートをたたきこんだ。この10分間だけで30得点と大爆発した攻撃の要因は、終盤にも関わらず機動力のあるディフェンスローテーションが機能したため。もう1つはこの場面が物語るように、オフェンスへの切り替えがうまくいき、ディフェンス2人に対してオフェンスが4人も参加し、そこにビッグマンも加わっているところ。相手のビッグマンがパスカットを狙う、ギャンブルをしてしまったため、#45ピットマン選手が参加することで数的以上に優位に立てる。このような状況では、ディフェンスは何もやりようがない。バスケットカウントでゲームを決めた場面となった。