毎節、Bリーグのタフショットを厳選してピックアップする「BEST of TOUGH SHOT Weekly TOP5 presented by G-SHOCK」。Bリーグ2017-18シーズンの第28節から選ばれたタフショットトップ5を大塚商会アルファーズ(B3所属)の青野和人ヘッドコーチに解説してもらった。
解説=青野和人(大塚商会アルファーズ ヘッドコーチ)
写真提供=Bリーグ
【5】#8レオ・ライオンズ選手の速攻からたたきこむダンクシュート(千葉ジェッツvs西宮ストークス GAME1)
第2クォーター残り40秒、#8ライオンズ選手がリバウンドを取り、自らドリブルで運んでいるとディフェンスの間にドライブのコースを見つけ、そのままヘルプに来た相手の上からたたきこんだ。フロアバランスのいい速攻の陣形に、戻っていたディフェンスは3人のうち1人がボールから目を離したので、#8ライオンズ選手が中へドライブ。#21ギャビン・エドワーズ選手がそのディフェンスに対し、一瞬スクリーンを掛けてコースを作っている。千葉の速攻はただ早く走っているのではなく、走りながらも焦らず体をコントロールしてお互いのスペースを作成。このプレーには、チャンピオンシップを見据えた完成度の高さがうかがえる。
【4】ディフェンスに激しくぶつかり、体勢を崩しながらも決めた#11桜井良太選手のランニング左フックショット。(レバンガ北海道vs京都ハンナリーズ GAME1)
必死に食らいつく北海道は第3クォーター残り3分30秒、#11桜井選手が得意のスピードドリブルでゴールへ向かって行くと、#5マーカス・ダブ選手がシュートコースをピッタリと塞ぎ両手でついてきた。相手の体がぶつかり体勢を崩しただけでなく、横から打つことでブロックショットはかわせても、柔らかく浮かすように打たなければ、走る勢いでボードに強く当たってしまう。一見簡単に決めているようだが、体のしなやかさ、経験値からくる冷静な判断、決めきるメンタリティーが備わっているからこそのプレー。後半の苦しい時間帯に1ゴール差まで詰めたことで、周りの選手たちも駆け寄ってそのプレーを讃えた。
【3】#6船生誠也選手の、ゲームを決めたリバウンドからの片足シュート(アルバルク東京vs名古屋ダイヤモンドドルフィンズ GAME1)
名古屋Dが効果的に的を絞って守り、オフェンスではファウルがかさんでいた#53アレックス・カーク選手のところをしつこく攻め、残り1分で5点差をひっくり返した。試合終了残り11秒、ファウルゲームのフリースローが2本とも落ちると、最後は#21笹山貴哉が左のフローター(浮かすように打つシュート)。リバウンド力のある2人の外国籍選手は、完全にボックスアウトされていた。そのこぼれ球を#6船生選手がキャッチした時は残り3秒。逆サイドからボールを奪いに来た#10ザック・バランスキー選手に気づくと、右足で蹴りだし、下がりながら片足で優しくシュートを打った。ベンチが見守る目の前でネットを揺らし、全員が両手を上げて喜んだ。ここでは、ゲームクロックを把握し、時間を残しながらも打ちにいった#21笹山選手の頭の良さと、チームに起用され続け、大逆転劇の場面で決めきった#6船生選手の成長が垣間見えた。
【2】#34ラモント・ハミルトン選手のクロスオーバーからの相手をたたきつ潰すようなダンクシュート
第2クォーター残り7分40秒で新潟ボール。#34ハミルトン選手はトップからクロスオーバードリブルでディフェンスを抜き去る。ゴール下にヘルプで待っていた#12ハッサン・マーティン選手がブロックショットのために舞いあがったが、#34ハミルトン選手はその上から両手でダンクシュートをたたきこんだ。ここは彼のスキルと強さを一度に見ることができた瞬間となった。#30ヒルトン・アームストロング選手を右手で抑えながらフロントチェンジして、右にドライブと思わせ、素早く左に切り替えたガードのようなドリブルワークを見せただけでなく、体が強く能力も高い相手のブロックショットに動じなかった#34ハミルトン選手は素晴らしい。
【1】#12岡田優介選手が決めた、実行力の高いセットプレーからの逆転バスケットカウント3ポイントシュート
第4クォーター残り16秒で、サイドから京都のポジション。逆サイドにボールを飛ばすと、#12岡田選手がスクリーンプレーでディフェンスを振りきり、前に流れながら放った3ポイントで逆転に成功し、遅れて来たディフェンスがぶつかってしまいバスケットカウントとなった。このプレーは昨年あたりから世界で使われ、代表的なチームとしてボストン・セルティックスが挙げられるが、浜口炎ヘッドコーチは選手の特徴を理解しアレンジを加えている。#91片岡大晴選手が逆サイドにいる#43永吉佑也選手にしっかりとスクリーンを掛ければ、ディフェンスは当然助けようとバンプしに来る。そのズレた場所で#91片岡選手がボールをキャッチした時は、#12岡田選手についているディフェンスはボールの場所がわかりにくい。しかも#91片岡選手がキャッチする直前、#12岡田選手が急に逆に動いたためディフェンスも反応してしまい、スクリーンに引っかかった。素晴らしい対応力と、選手の実行力にチームの信頼関係を見た。