加入1年目でチームの躍進を支えたトラソリーニ「レバンガファンの応援は心強い」

直近2試合では、合計76得点と大活躍を見せているマーク・トラソリーニ[写真]=B.LEAGUE

 冷たい雨が降りそそぐ平日開催のBリーグ。墨田区総合体育館で行われたサンロッカーズ渋谷レバンガ北海道の対戦は88-83でSR渋谷の勝利。北海道はシーソーゲームを落とし泥沼の7連敗となった。

 Bリーグ2年目となる今シーズン。開幕当初は栃木ブレックス、千葉ジェッツアルバルク東京川崎ブレイブサンダースなど強豪ひしめく東地区での苦戦が予想された北海道であったが、ふたを開ければ大健闘。「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2017-18」進出のかかるシーズン終盤に失速したものの、台風の目となったチームの躍進を支えたのは加入1年目のマーク・トラソリーニだ。

 1990年生まれのトラソリーニは、206センチ109キロのパワーフォワード兼センター。カナダのバンクーバー出身で、カナダとイタリアの国籍を持つ。今年4月にNBA殿堂入りを果たした同じカナダ出身のスティーブ・ナッシュ(元フェニックスサンズほか)を輩出したサンタクララ大学を卒業後、2013年から3年間をイタリアのリーグでプレー。キャリア4年目の2016-17シーズンは、フランス1部リーグのSLUCナンシー・バスケットに所属した。

 トラソリーニは4月29日の千葉戦では、今シーズン最多となる42得点を挙げると、5本放ったシュート3ポイントシュートもすべて沈めてみせるなど大活躍。SR渋谷との試合でも両チーム最多となる34得点を挙げて、最後まで目が離せない試合を演出し、平日の夜に詰めかけたバスケットボールファンを大いに沸かせる立役者となった。センターとしてインサイドを支配するには、フィジカルでやや劣るトラソリーニだが、それを補ってあまりある走力と、高いアウトサイドのシュート力を兼ね備え、現在得点(19.0)とリバウンド(7.4)でチームリーダーとなるなど、攻守に渡ってチームをけん引する。

 自身は好調を維持しつつも、チームを勝利へと導くことができなかったトラソリーニは、試合後の取材に応じ「フラストレーションがたまる試合だった。ディフェンスのミスが多く、レバンガ本来のプレーを見せることができなかった」と肩を落とすも、チームをけん引する自信あふれるプレーについて質問がおよぶと「ここ最近のシュートタッチは『打てば入る』感覚でプレーできているし、そういった部分においては楽しくプレーできているよ」と笑顔を見せた。

トラソリーニは、206センチながら柔らかなシュートタッチで外からでも得点が取れる[写真]=B.LEAGUE

 第31節を終えて、東地区同士の対戦が終了したことを受けて、自身がプレーするBリーグと所属する東地区のレベルについての問いに対しては「(Bリーグでは)楽しくプレーしているし、今からの成長が楽しみなリーグだと思う」と述べると、続けて「東地区に関しては、実際にプレーしてみて正直、他の地区と比較するとレベルが高いと感じている。フェアかフェアじゃないかと言われれば、フェアじゃないかもしれないね。もう少し戦力的な均衡が取れた組み合わせになることが望ましいかもしれませんね」と率直な感想を口にした。

 平日のアウェイ開催にも関わらず大勢のファンが来場していたことについては「レバンガファンのみなさまはホーム、アウェイに関わらず毎試合コンスタントに、どの試合でも応援をし続けてくれている。選手として、そのような応援のもとでプレーをするのは心強いと感じているし、みなさんの応援のおかげで本当に楽しくできているよ」と感謝の意をしめした。
 
 北海道は1試合あたりの平均入場者で昨季7位の2796人から、今季は千葉に続く2位3726人(第26節終了時点)へと大躍進を遂げ、北海道で高まるバスケットボール熱にはスポーツ界から高い注目が集まっている。熱心にチームを支えるファンに対し、トラソリーニは「今後も、バスケットを好きでいてくれて、このチームを好きでいてくれて、そして、応援し続けて欲しいと考えています」と力強く語った。

 どこからでも得点できるバランスの取れたチーム構成としっかりと準備と練習に裏付けられたディフェンス力で、最後まで強豪ひしめく東地区で接戦を演じた北海道。トラソリーニに得点が偏ってしまうのは、本来のゲームプランや、勝ちパターンではなかったかもしれないが、北海道のエースがリーグ屈指のビッグマンであり、他チーム垂涎の優良外国籍選手であることは改めて証明された。

 バスケットボール選手としての能力はもちろん、プロアスリートとしてファンへの感謝も忘れることがないカナダ出身のナイスガイが、日本のバスケットボールの発展と北海道のレバンガ熱の高まりにさらなる貢献を果たしてくれることに、今後も大いに期待したい。

文=村上成

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