5月12から「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2017−18」クォーターファイナルがスタート。レギュラーシーズンとは違う“ここで負けたらシーズン終了”という緊張感の中、各会場で熱戦が繰り広げられた。
ウィングアリーナ刈谷で行われたシーホース三河と栃木ブレックスの一戦も、互いのプライドが音を立ててぶつかり合うような激しいものとなった。その中で勝敗を分けたのは、『レギュラーシーズンで積みあげたものを出しきる』ことと、『チャンピオンシップに向けて準備してきたものを遂行する』ことだったと言えるだろう。
結果は77-63と、後半だけで17得点を挙げた金丸晃輔と13本のリバウンドを奪ったアイザック・バッツらの活躍により、三河がクォーターファイナルの第1戦を制した。
試合は、前半を終えて28-30と、栃木が1ゴール差で折り返す展開となった。昨季優勝した主力の多くがチームを離れたことに加え、シーズン途中にヘッドコーチが交代するなど、苦しい戦いが続いた栃木が、終盤に来て本来の姿を取り戻したのは、粘り強いディフェンスが再構築されたからに違いない。この試合でも随所にそれが見られ、三河の攻撃の起点となる橋本竜馬や比江島慎に本来のプレーをさせなかった。
しかし、三河サイドもそれは織り込み済み。試合後の記者会見で、鈴木貴美一ヘッドコーチは「選手たちはよく我慢してくれた」と選手たちをねぎらうとともに、「後半は攻めるパターンを変えたのが正解だった」と振り返り、レギュラーシーズンよりも早めのタイムアウトでチームをコントロールして、逆転の機会をうかがっていたことを明かした。さらに「相手にプレッシャーをかけてボールムーブを抑えられたのは大きかった。細かい部分までは言えないが、レギュラーシーズンとは違うバスケットボールができたのも事実」と、対栃木用に準備してきたものが機能し、それが勝利を呼びこんだことも明かした。
一方、安齋竜三ヘッドコーチは「自分たちのバスケができたいい時間帯と、それができなかった悪い時間帯がはっきり分かれた試合だった。三河は少しでも隙を見せればそこにつけ込まれてしまう」と試合を振り返った。「ダメな時間帯ではチームのルールを遂行できなかった。オフェンスが単発になり、持ち味である流れのある攻めができなかった」と敗因を語った。「三河に勝つには40分間、集中力を切らしてはダメ。今日は金丸選手にやられたが、強度の高いディフェンスを続けられなければやられることはレギュラーシーズンから言ってきたこと。明日はそれを徹底させたい」と、気持ちを明日に切り替えていた。
もちろん、クォーターファイナルはこれで終わったわけではない。鈴木HCも「今日に試合を振り返り、良いところ、悪いところを確認して明日に臨みたい」と気持ちを引き締めている。
第2戦も今日と同様にディフェンスを軸に、どちらがイニシアティブを握れるかが勝敗を分けることになるだろう。「栃木はもっとディフェンスを厳しくしてくるはず」と、三河の金丸は警戒を強める。明日はさらにガチンコの試合内容になることは必至だ。
文=入江美紀雄