5月19日、ウィングアリーナ刈谷で行われた「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2017−18」セミファイナルの第1戦はオーバータイムの末、アルバルク東京が逆転でシーホース三河を下した。
この試合、勝敗を分けたのが、A東京の足が最後まで止まらなかったことだろう。そのスタミナはシーズンを通じて繰り返されたトレーニングに秘密がある。ことあるごとにエースの田中大貴は「自分たちは一番練習してきた自負があります」と語り、馬場雄大は「流した汗は裏切らない」と自信を見せていた。
「ルカ(パヴィチェヴィッチ)ヘッドコーチがが来た1日目からディフェンスを中心に練習をしてきました。苦しい時間こそ、自分たちのディフェンスができれば相手は簡単に攻められないし、自分たちはそこから走るバスケができる。これまでの練習で培い、試合で実践してきたディフェンスを信じれたから」と、試合後のメディア対応で勝因を語ったのはザック・バランスキーだ。
バランスキーは驚異の追いあげを見せた第4クォーター、さらに勝負を決定づけたオーバータイムの際、三河の金丸晃輔とマッチアップ。「誰をマッチアップするかは選手たちで決めています。田中(大貴)選手は比江島(慎)選手についたほうがいいし、金丸選手には(菊地)祥平さん、(馬場)雄大、そして僕がつくことになり、今日に限って言えば、ディフェンスとリバウンドの面でがんばっていたので、プレーイングタイムを勝ち得たと思っています」と語るとともに、「金丸選手には21点も取られましたが、後半8得点に抑えられた。ここも大きかったかな」と胸を張った。
「厳しい」と自他ともに認めるA東京の練習だが、トレーニングと同様に時間が割かれるのが次回対戦するチームのスカウティングだ。スタッフが準備するビデオを確認して、丁寧に相手のオフェンスやディフェンスを確認してきた。「スカウティングに関してはスタッフ陣から指示を受けているし、自分も相手を研究しています。金丸選手は常に動いているので守りにくいのですが、癖があるので。スカウティングでたくさんビデオを見てきたおかげだと思います」
バランスキーも田中や馬場と同様にA東京の強さの秘密を、シーズンを通じて構築してきたチーム作りにあるという。「シーズンをとおして鍛えてきたので、どこよりも体力はあると思います。走り勝つディフェンスなど、40分間強度を落とすことなくできました。それに誰が出ても戦力が落ちないので、プレーイングタイムをシェアできるのが強みだと思います」
”走り勝つ”というバスケットボールのベーシックな部分の前には戦術、戦略がかなわないことはこれまで何度も示されてきた。基本の基本を徹底してきたA東京の強さはなかなか簡単には揺らがないと言えるだろう。
文=入江美紀雄