5月27日に行われた「B1・B2入替戦 2017-18」は、大激戦の末に富山グラウジーズが熊本ヴォルターズに勝利。昨季に続いてB1チームが残留を果たす結果となった。
bjリーグ時代には準優勝の高みまで上った経験もある富山。大学卒業後の10シーズンを地元である富山一筋でプレーしてきた水戸健史は、そんなチームの浮き沈みを最もよく知る選手だ。チームの中心選手が宇都直輝であることは疑いようもないが、チームの顔、フランチャイズプレーヤーと呼ぶにふさわしいのが水戸であることもまた疑うべくもない。それだけに、水戸自身もチームにかける思いは一際強い。
「チームの知名度や観客動員数がbjリーグの時とは全く違って、グラウジーズブースターだけではなくたくさんの方が注目してくださっている。来シーズンはオールスターも富山でありますし、絶対にB1に残らなければいけないと思っていました」
かつては高速ドライブを武器に得点面での貢献度も高かった水戸だが、今季は2ケタ得点が3度しかなく、1試合平均得点は3.3。それでも、チームの全65試合で欠場はわずか2試合。ミスの少なさとディフェンス力を買われ、出場63試合のうちベンチスタートだったのも1試合しかない。熊本戦でもB2で2シーズン連続アシスト王に輝いた古野拓巳とのマッチアップを任され、開始6秒で古野からボールを奪ってチームの先制点を演出した。
「ポイントガードにプレッシャーをかけろとコーチから指示があって、出だしでいいスティールができて流れをつかめました。結局第1クォーターはビハインドで始まったんですが、自分の仕事はしっかりできたと思います」
水戸の言葉にもあるように、第1クォーターは結果的に3点ビハインド。そこから白熱した激戦を最終的に制することとなるのだが、振り返れば今季はチャンピオンシップ争いから残留争いに転じ、何度も土俵際に追いつめられた。その都度這いあがった粘りが、熊本に打ち勝った要因だ。
「1回基本に戻って、 1人ひとりのディフェンスのプレッシャーやボールへの執着心でもっとエネルギッシュにやること、絶対に残留するという気持ちを持つこと、コーチに言われたこと以上のものを全員が出せるようにと話し合ったことで、本来の自分たちのプレーができたのかなと思います」
かくしてB1残留という最大のミッションを達成。地元・富山からの期待を胸に、来季も水戸はB1の舞台でがむしゃらにボールを追い続けるだろう。
文=吉川哲彦