2018.05.14

崖っぷちから巻き返し残留争いに踏みとどまる、富山グラウジーズの勝因は「らしいバスケット」

逆転でB1残留へ望みをつないだ富山[写真]=B.LEAGUE
2000年より、バスケットボール専門で取材活動中

 生き残りを賭けた「B1 残留プレーオフ 2017-18」1回戦、富山グラウジーズ島根スサノオマジックが激突した5月13日の第2戦は、島根が快勝した第1戦とは全く異なるゲームとなった。

 後がない富山は、立ちあがりからサム・ウィラードに加えて、シューターの大塚裕土もリングに突進。第1戦で「ジャンプシュートにこだわってしまった」という宇都直輝も、この試合は普段どおりにペイントエリアを襲う。追う展開となった島根は、波多野和也の3ポイントなどで抵抗するが、第1クォーター終了間際の橋本尚明の3ポイントで23-18と富山が優位に立つ。

 勢いが出た富山は、第2クォーターもクリント・チャップマン上江田勇樹の外角シュートが決まり序盤で10点をリード。橋本や大塚、宮永雄太らがドリブラーに張りつくディフェンスに、島根は思いどおりのオフェンスが展開できずストレスを溜める。それでも佐藤公威の3ポイントなどで大きく離されず、45-36で折り返す。

佐藤公威は第2戦の第2クォーターで7得点を記録[写真]=B.LEAGUE

 第3クォーターはウィラードと大塚が再び奮起。ウィラードは前半と同様にペイントエリアに飛びこみ、大塚はジャンプシュートや速攻で得点。69-55とリードを広げた富山の得点ペースとディフェンスの強度は第4クォーターも落ちないまま、20点差をつけられた第1戦の借りを返し、93-73で雪辱。勝負は5分ハーフの第3戦にもつれこんだ。

第2戦を終えて14得点7アシストをマークし、しっかりと役目を果たした宇都[写真]=B.LEAGUE

 その立ちあがりで両者ともフィールドゴールが決まらない中、宇都のフローターと橋本の3ポイントで富山が抜けだす。デクスター・ピットマンのバスケットカウントも飛びだし、11-8と富山がリード。

 富山は後半の出だしで再び決定力を失い、ジョシュ・スコットの速攻で1点差。富山がフリースローで差を広げても、島根はアル・ソーントンの得点で再び1点差に迫る。しかし、ここから抜けだしたのはまたも富山だった。宇都が正面突破からのレイアップとフリースローで4点を追加。島根の必死の反撃も防ぎきり、18-13で終了のブザーがアリーナに響きわたった。

ソーントンは第3戦だけで7得点を挙げる活躍を見せたが、チームは惜しくも敗戦[写真]=B.LEAGUE

 勝因として選手たちが口をそろえたのが「グラウジーズらしいバスケット」。それはこの日見せたアグレッシブなディフェンスとリングアタックであり、ミオドラグ・ライコビッチヘッドコーチが「我々が勝つ唯一の道筋」と表現したチームの一体感だ。中地区2位争いから一転してB2降格の危機に立たされながら、崖っぷちで本来の姿を取り戻した富山。

 “あと1勝”を勝ち取るべく、横浜ビー・コルセアーズとの2回戦に挑む。

文=吉川哲彦

BASKETBALLKING VIDEO