7月21日、「B.LEAGUE 新人選手研修 2018」が行われ、B1、B2の新人選手など約30人に加え、各クラブのスタッフがメンターとして参加した。
冒頭の挨拶を務めた大河正明チェアマンは、NBL、bjリーグが統合してできたBリーグの誕生経緯や、チームの入会基準などについて説明。また、「自分たちの給料はどこからくるのか。それはファン、スポンサーなどがいるからです。そのことを考えて、日々の練習や試合に臨んでください」と呼び掛けた。
さらに、2017-18シーズン限りで現役を退いた志村雄彦氏(仙台89ERSジェネラルマネージャー)も登壇し、自身の選手生活を振り返りつつ、「キャリアについて」、「プロフェッショナルとは」、「キャリアの終わり方」の3つをテーマに講話。仙台高校、慶應義塾大学で順風満帆な学生生活を送った志村氏だが、東芝(現川崎ブレイブサンダース)在籍時の2006年に天皇杯で優勝した時は主力でなく「素直に喜べない自分がいましたし、うれしくなかったです」。ただこの「挫折」があったからこそ、「13年間のキャリアを過ごせたと思います」
また、2011年には東日本大震災の影響で仙台が活動休止したことに伴い、琉球ゴールデンキングスへレンタル移籍。沖縄の地で背番号「89」を身につけてコートに立った。
「皆さん、いろいろな思いを持ってプレーしている思います。僕には地域、コミュニティーのために何ができるのかと。自分の地元がすごくダメージを受けた時、一人の人間、一人のバスケットボール選手としてどのようにしたら地域に貢献できるか考えました。僕はバスケットボールを通じて、仙台、宮城に対して何か勇気や希望を与えられると思いました」
JBL、bjリーグと2つのリーグを経験し、Bリーグでも活躍した志村は「今の環境を当たり前と思わないでほしいです。たくさんの方のおかげでここにいるということを忘れてはいけないと思います」と述べた上で、プロ選手である以上は「客観的に自分を見る目」に加え、「エゴ」も大事だと説明。「この2つがバランス良くなったら素晴らしい選手になると思います」と続けた。
最後に、「変わらない自分でいるために変わり続ける」ことが成長につながるといい、「僕は翌日にバスケットボールの人生を終えたとしても、後悔のないプレーを1日1日していこうと思っていました。今は全く後悔していません。皆さんにも自分のような終わり方をしてもらいたいと思います」とメッセージを送った。
その後はBリーグ、Bクラブのビジネスについての研修が行われ、選手たちは他競技と比べたBリーグの現状などを学んだ。メディアトレーニングの研修では、簡単な自己紹介やヒーローインタビューの受け答えなど実際の場面を想定した実技。「子どもたちに夢を与える」ことを求められ、プレー以外の姿、言動にも注目が集まる選手たちは、まだ慣れないメディア対応についても学習した。また、サプライズとして、TOKYO MXで放送されている『BE-BOP SPORTS』(7月23日放送予定)の番組収録が行われ、田渡凌(横浜ビー・コルセアーズ)、ダシルバヒサシ(三遠ネオフェニックス)、飯田遼(信州ブレイブウォリアーズ)の3人が取材に対応。講師の片上千恵さんから指導されたことを活かして、緊張した面持ちながらも質問に答えていった。
リスクマネジメントの講習では、麻薬、飲酒運転、女性問題などといった身近で起こり得る事件について勉強。絶対にあってはならないことではあるが、選手たちは真剣な眼差しで講師の話に耳を傾けていた。