「ダメなところは明確」、シーホース三河のキャプテン狩俣昌也が挙げるチームに足りないもの

5連敗中の三河。主将の狩俣は今、何を思うのか[写真]=B.LEAGUE

 10月17日、シーホース三河は敵地で行われた川崎ブレイブサンダースとのB1リーグ第3節で、最終スコア60-69で敗れ開幕5連敗を喫した。

 チームを率いる鈴木貴美一ヘッドコーチと狩俣昌也は試合後、別々でのインタビューだったにも関わらず勝負の分かれ目を8-18と引き離された「第2クォーター」と口をそろえた。さらには、ともに「早打ち」という言葉を使い、同クォーターのオフェンスで慌ててしまったことを悔やんだ。

 過去2シーズン連続でB1最速となる地区優勝、チャンピオンシップベスト4へ進出している常勝軍団は、未だに今季初勝利を挙げられずにいる。川崎戦も含め、ここまでの5試合中3試合は1ケタ点差で敗れているだけに、決して勝てるチャンスがなかったわけではない。

 この状況をチームのキャプテンを務める狩俣はどのように受け止めているのか――。

 同選手は開幕前に「今シーズンはディフェンスに力を入れている」とチームスタイルを明かしており、17日の試合後も「ディフェンスは、ゲームをとおしてしっかりとできていた。オフシーズンも細かい練習をしてきましたし、手応えはあります」と胸を張る。試合でも相手の得点源である辻直人を10得点、ニック・ファジーカスに至ってはわずか1得点に抑えこみ、失点を60点台にとどめた。

17日の川崎戦では、失点を60点台に抑えた[写真]=B.LEAGUE

 では、現在の三河には一体何が足りないのか。チームの主将は迷わず「オフェンス」と口にする。「オフェンスでの連携だったりチームケミストリーの部分ではみんな納得していない。それぞれがモヤモヤしているという感じです」。

「まずはディフェンスをがんばって、そこから走る。コントロールするところはしっかりコントロールする、というバスケットをしないとダメだと思います。今はそこの判断がまだあまり良くない」

 昨季まで不動のスターターだった橋本竜馬琉球ゴールデンキングス)と比江島慎(ブリスベン・ブレッツ)が抜け、やはり戦力が下がった印象は否めない。今季の試合を見ても連動した動きが少なく、まだまだチームとして機能していない。

 その中でも狩俣は「個人的には中に入っていく選手がいない」と感じている。「昨シーズンまでは比江島選手が(その役目を)やってくれてましたし、最後の大事な局面も彼がボールを持ってプレーしていました。外からのペネトレイトで切り崩してクリエイトする攻撃は、今シーズンまだ出ていないです」。

「今のメンバーでいえば、森川(正明)選手にやってほしい。ドライブできる能力はある」と期待を寄せ、ポイントガードとして「それぞれの選手たちの良さを引きだしてあげたい」とも話した。もっとも、自身は先発ポイントガードの座を新加入の生原秀将に奪われている状況であり、主にベンチから出番を待つ“セカンドユニット”の1人だ。しかし、チームをまとめあげる30歳は「とにかく勝つことが一番。スタメンというよりかは、チームの勝利に貢献できればいいですし、そういった選手になりたい」と、あくまでチームファーストを貫く。

元々得点力のある狩俣だが、今はディフェンスに重きを置いている[写真]=B.LEAGUE

 この日の試合では、自身の持ち味である「エナジーあふれるアグレッシブなディフェンス」は空回り。得点、アシストも0に終わり最後はファウルアウトでコートを去った。「ディフェンスで貢献しようとしましたがダメでした」。

 開幕から5試合を終え、「責任を感じてないことはないです。色々と考えることはいっぱいあります……」と吐露した狩俣。だが、「連敗中でも練習の雰囲気は悪くなく、みんなしっかり前を向いて自分たちがやるべきことを考えて実行している」と話す。キャプテンとしてもフラストレーションが溜まっているような選手がいれば積極的に声をかけて励まし、常に戦う姿勢を無くさないように全体を見ているという。

「ダメなところは明確に出ている。そこをしっかり修正して、次のホームでは“勝ち”という形でしっかり応えたい」

 “新生”シーホース三河が初勝利を手にするには、狩俣のキャプテンシーが必要不可欠。次節ホームで行われるサンロッカーズ渋谷戦、まずはチームとして「ダメなところ」であるオフェンスに注目したい。

文=小沼克年

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