このところBリーグファンの間で頻繁に話題になるのが、選手の第一子誕生のニュースだ。宇都直輝(富山グラウジーズ)や中東泰斗(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)といった面々が並ぶ中でも、特に注目を集めたのが新潟アルビレックスBBの五十嵐圭。夫人がフリーアナウンサーの本田朋子さんということもあるが、結婚6年目、38歳での第一子誕生という点も注目を集めたポイントだ。
ご存じのとおり、五十嵐はダバンテ・ガードナーとのワンツーパンチで新潟をけん引してきた大黒柱。昨季リーグ3位だった1試合平均出場時間は、今季も現時点で約32分。第5節の横浜ビー・コルセアーズ戦では42秒しか休まず、第7節で再戦した横浜との1戦目でもベンチに下がったのは1分24秒のみ。自らディフェンスリバウンドを取りに行き、そこからのボール運びでゾーンアタックを組み立てる役割を遂行し続けた。第7節の2試合はリバウンドが計12本。アグレッシブなプレーにさらに磨きがかかったようにも見受けられた。
父親となった自覚が自身を突き動かしたのではと思ったが、どうやら本人は仕事とプライベートの線引きがしっかりできているらしく、自身のパフォーマンスに大きな影響は与えていないとのことだ。
「これからだんだん実感が湧いてくるんだと思いますが、仕事に関しては今までどおり責任感を持ってやらないといけない。このチームは自分が引っ張っていかなきゃいけないし、今シーズンはより結果を求めていきたい。家族を守るという責任感はこれから出てくると思いますし、それがいい方向に行ってくれればと思います。子どもがいる選手から『大変だよ、寝られないよ』という話は聞いていますが(笑)、一喜一憂するのではなくそれも楽しみながら、ドシっと構えて試合に臨みたいと思います」
とはいえ、子どもの誕生が自身の内面に何の影響も及ぼさないということは考えにくく、五十嵐にも新たなモチベーションが生まれたようだ。
「自分の父親がプロバスケットボール選手ということを認識できるくらいまではいいプレーを続けていきたい。『カッコいいお父さん』と常に思ってもらえるように努力していきたいと思います」
疲労が懸念される長い出場時間も気にせず、「庄司(和広)ヘッドコーチは『大丈夫か?』と気遣ってくれますが、自分の中では全然大丈夫」という五十嵐。その強いメンタルと高いモチベーションで、これからも優れたパフォーマンスを発揮し続けるだろう。
文=吉川哲彦