“コートにいなかったかもしれない”辻直人、記念すべき第1回目の『MONTHLY BEST of TOUGH SHOT』を受賞

川崎ブレイブサンダースの辻が記念すべき第1回目の受賞者に [写真]=新井賢一

Bリーグ2018-19シーズンよりスタートした、ユーザーが対象ショットの中からナンバーワンタフショット『MONTHLY BEST of TOUGH SHOT』を決める、バスケットボールキングとカシオ計算機株式会社による共同企画。記念すべき第1回目(第1節~第6節対象)は辻直人川崎ブレイブサンダース)が最多票を獲得した。

そこで今回、辻に受賞記念品のG-SHOCK『GBD-800-1BJF』を贈呈し、ビッグショットについて話してもらった。また、青野和人ヘッドコーチ(越谷アルファーズ)が、どのようにしてこの一発が生まれたのか、相手やチームメートとどのような駆け引きがあったのかなど、指揮官ならではの視点で解説してくれた。
 
――記念すべき1回目の受賞おめでとうございます。
 Bリーグになって賞をもらうのは初めてなのでうれしいです。

――贈呈されたG-SHOCK『GBD-800-1BJF』はいかがですか?
 とてもカッコいいです。赤色のG-SHOCKを持っていますが黒色は初めてで、様々なシチュエーションで着けることができると思っています。

――受賞対象となった千葉ジェッツ戦(10月6日)のシュートを振り返ってください。
 本当は3ポイントを打つつもりではなく、(バーノン)マクリンとのピック&ロールで相手の逆を突いてアタックできればと思っていました。ただ、ピック&ロールがうまくいかず、逆にディフェンスと駆け引きしてスペースを作って、そこで迷わず3ポイントを選択できました。自分が責任を持ってシュートを打ち、それを決めきれたのはすごく良かったと思います。今後、あのようなシーンがあっても自信を持って打てると思うので、本当に自分にとってはいい経験になりました。

――試合終了間際の大事な時間帯にボールを受けた時の心境は?
 ボールが自分のところに「来ちゃった」とは思いませんが、とても緊張します。好んでやるかと言われたら……。調子が良ければ自分が勝負するだろうし、チームとしてはニック(ファジーカス)などインサイドが強いプレイヤーもいるので、試合のシーンによると思います。

――最後に今後の意気込みを聞かせてください。
 また同じようなシーンが来たら、自分が攻めて決めたいと思います。今回のシュートでさらに自信がついたので、「自分のところにパスを出せ」と思えるようなメンタルを持っていきたいです。
 

青野和人ヘッドコーチはこう見る!

 10月4日、3シーズン目を迎えたB1リーグが開幕し、他の8カードに先駆け千葉ジェッツvs川崎ブレイブサンダースの試合が開催。その大興奮の一戦から中1日を挟み、両チームとも緊張と疲労がとれて万全の状態で第2戦に臨んだ。立ちあがりから千葉の早いバスケットに対し、川崎は押されてどんどん点差がついていき、前半では最大21点差まで広がった。

 しかし、ハーフタイムで川崎は素晴らしい対応力を見せ、攻守に貢献した長谷川技、破壊力あるシェーン・エドワーズの活躍が目立ち、第4クォーターのオフィシャルタイムアウトの時点で2点差と緊迫した展開。ここで川崎は今回の主役、辻直人をベンチに下げるものの、バランス良く得点を記録する。一方の千葉は富樫勇樹のタフショットが次々と決まり、場内のボルテージは最高潮に達した。

 川崎は残り46秒でタイムアウトを取ると、篠山竜青藤井祐眞の2ガードにプラスしてベンチを温めていた辻を3番ポジション(スモールフォワード)で投入。これは小野龍猛との機動力のミスマッチを狙ってのことだが、逆に千葉の対策にハマり、5秒バイオレーションを取られてしまう。川崎ベンチもショックで時間が掛かってしまったのか、慌ててサイズのミスマッチにならないように長谷川を交代に送るが間に合わず。

 千葉は絶好調の富樫がハイピックからシュートを放つもリングに嫌われ、残り29秒で藤井がリバウンドを取ってボールをプッシュ。ディフェンスを引きつけて辻に渡すと、小野との1on1になった。辻は一度後ろに下がって左45度の3ポイントラインよりだいぶ外側でボールをキープ、バーノン・マクリンのボールスクリーンを使い左に攻めた。辻は2回のフロントチェンジで小野が対応してこなかったのを見て、中に切れこむドライブを仕掛ける。

 実は第3クォーターにも同じような状況があり、この時は辻が同じようなアタックで中まで切りこんでいた。今回は小野が必死に追いつこうと走りだした瞬間、辻は3ポイントラインで左にステップバック。体が接触したまま逆転3ポイントシュートを決めきった。

 試合時間が残り1分を切ってからの交代でも決めきる辻の精神力に改めて驚かされるとともに、あの場面でもし交代していたら、辻はコートにいなかったかもしれないと思うとバスケットボールは複雑で面白い。辻に駆け寄った藤井が叫ぶ後ろでは、大アウェーの中で声援を送り続けたブースターが全員飛び跳ねて喜んでいる。船橋アリーナまで足を運んだ川崎ブースターは満足して会場を後にしたはず。今後も語り継がれる好ゲームになった。

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