富山市総合体育館で行われた「B.LEAGUE ALL-STAR GAME 2019」は、派手なダンクに高精度の3ポイントが飛び交うオールスターらしいエキサイティングな内容で、B.WHITEが142-130で勝利。次回開催都市の北海道へと、そのバトンは引き継がれた。
この富山県内を魅了した夢の祭典に先立つ1月18日、Bリーグは富山県出身の水戸健史(富山グラウジーズ)、馬場雄大(アルバルク東京)、オールスター本戦はケガの影響で出場できなかった田臥勇太(栃木ブレックス)らが社会貢献活動「B.Hope Action」として、富山県高岡市の医療的ケア児の拠点施設”くるみの森”を訪問した。
このB.Hope ActionはBリーグが積極的に推進している活動で、社会的責任活動として、地球環境、循環型社会や防災・平和そしてダイバシティ・健康・生き方などの領域で情報発信やリーグとしてのプログラムの開発・実施を行っていくというもの。今オールスターの開催地富山県は国内でも有数の福祉が充実している土地として知られている一方、人口の県外流出により、子供たちが富山に夢を持てないという声が聞かれているという。
そこで、Bリーグでは今回、ANAホールディングス(以下ANA HD)との協業により、富山の子供たちがテクノロジーを通じて無限の可能性、未来へも夢を体験できる場を提供することに挑戦するとともに、富山の開かれた福祉の現場を国内に広く知ってもらう機会を創出することとした。
くるみの森に到着すると、最初に田臥が「皆さん、こんにちは。今日はみんなに会えることを楽しみにしていました。どうぞよろしくお願い致します」と優しい笑顔で挨拶をして活動スタート。この日参加した7名の選手たちは、約20名の子どもたちとともにハンドペインティング、キャビンアテンダントお仕事体験バスケットボールチャレンジなどを行ない、笑顔の絶えない楽しい時間を過ごした。富山に集結したスター選手と一緒に行ったアクティビティは大いに盛りあがり、最後は地元富山出身の水戸から「僕たちもすごく楽しかったです。この活動が皆さんの記憶に残ってくれたら、とても嬉しいです」と締めの挨拶。「オールスターでみんな凄いプレーをすると思うので、楽しみにしておいてください」と活躍を誓った。
翌19日オールスター本番ではANA HDが持つ先進テクノロジーを結集したAVATAR(アバター)と呼ばれる遠隔ロボットが会場に登場。あたかも自分がそこに存在し、物理的にものを動かしたり触ったりできる技術を駆使し、くるみの森の子どもたちが施設にいながら、自由にアリーナ内を楽しんだり、バックヤードをのぞいてみるなどの特別な体験を提供。実際に試合の合間にくるみの森の子どもたちと選手の掛け合いもあり、インタラクテイブな演出に会場も盛り上がりを見せた。18日のイベントに参加した子どもたちにとって自分たちが間近に接した選手たちの活躍は、これまで以上に眩い存在となったのではないだろうか。
シーズン60試合に加え、天皇杯や代表戦、そしてオールスターと大変過酷なスケジュールをこなす選手たち。少ない時間でもスポーツの力で地域、社会に貢献しようとする選手・スタッフの姿勢と、地道に活動が継続されることにより、触れ合った子どもたち、参加した関係者、その活動を知った大勢の人たちに影響をもたらしていくに違いない。
文=村上成
写真提供=B.LEAGUE