2月2日、ブレックスアリーナ宇都宮でB1東地区の首位攻防戦が行われた。満員のアリーナでイエローに染まったホームのファンから大歓声を受けながらプレーを続けた栃木ブレックスは、千葉ジェッツを相手に前半だけで14点のリードを奪われる苦しい展開。後半に入って持ち味の激しいフィジカルを活かしたチームディフェンスで息を吹き返してひっくり返したが、最後は自分たちのミスからペースを失って敗戦した。首位奪還に向けて負けられない一戦だったが、最後は力尽きた格好だ。
この日、ゲームハイにして今季最多18得点を獲得した比江島慎は悔しさを押し殺しながらゲームを振り返った。
「勝てるゲームだったと思います。その分ショックは大きいですけど、修正する点は多くあると思いますので明日は切り替えて臨みたいです。後半はディフェンスの強度をもう一段階上げて、流れの中から自分たちの形でスコアを取れました。その中で自分自身もシュートタッチが良かったので思いきり良くプレーできたと思います。今までも点差を開いた後にさらに突き放すことができずにひっくり返されることが千葉との対戦では多くて。自滅やミスから流れを渡してしまっているので、そのタイミングでもう一段階プレーレベルを上げていかないといけないです。明日も負けたらもっと差がついてしまいますし、千葉に対して苦手意識を作らないためにも大事な一戦だというのは全員がわかっていると思います。チャレンジャーの気持ちを持って、もっと球際だったり、ルーズボールだったり意識を持って相手に負けないように出だしからしっかりプレーできればと思います」
相手エースの富樫勇樹を抑える役目を担った遠藤祐亮は責任を感じていた。
「前半の入りのディフェンスで自分が結構ミスをしてしまって、富樫選手に気持ちいいシュートを打たせてしまって、相手のリズムになってしまい……。後半盛り返せたんですけど、流れがいい時に自分たちのミスで負けてしまった感じです。戦って勝てない相手ではないと思いました。自分たちがやるべきことをやっていない結果、自ら首を絞めてしまった感じでした。明日はしっかりとやるべきことにフォーカスして、しっかりと勝ちきりたいと思います。今日勝って明日も勝てば千葉と勝率が並ぶという緊張感のあるゲームだったんですけど、最初から集中していくとか、自分たちのディフェンスをプレーしていかないといけないとか、負けた中で学べた部分はあるので切り替えていきたいです」
そして司令塔の渡邉裕規は敗因を冷静に分析して、チーム全体へのレベルアップの必要性を説いた。
「天皇杯の決勝、先日(1月19日)のアウェイ戦でも負けていたので、2連勝したかったところですけど。ホームであれだけの声援をもらって後押ししてもらいましたが、まだ最後の踏ん張りが足りないというか、千葉との対戦での敗戦の原因を勝負どころで出てしまったのは残念です。それでもまだ明日取り返せますし、何より連敗をしないことが大切なので。またしっかり切り替えてプレーしていきたいです。自分たちが逆転してからの相手との駆け引きだったり、プレーの質というのが勝敗を分けたと感じています。やはり強いチームと対戦するときはルーズボールだったり、球際だったり、リバウンドをティップするなど、そういう細かい部分がとても重要ですよね。勝敗を最終的に分ける部分はそういうところで、強いチームほど華やかに見えて地味なことをしっかりとチームでやっているので。そういう部分を徹底していきたいです」
大一番で自分たちらしさを40分間継続できずに敗戦を喫した栃木。この悔しさをもう一度戦える40分間にぶつける。すべては出だしでペースを握れるか。やるのは彼ら自身だ。
文=鳴神富一