2019.02.04
2月2日にブレックスアリーナ宇都宮で行われた、東地区の首位攻防戦となった栃木ブレックスと千葉ジェッツの一戦。4435名と立ち見席も多くのファン、ブースターで埋め尽くされ、超満員に膨れ上がったアリーナの中で一進一退の攻防が繰り広げられた。勝負の差を分けたのは、重要なタイミングでいかに自分たちのバスケットを展開できたかという部分だ。
前半は完璧な千葉ペース。ディフェンスで相手のピック&ロールに対してハードにプレッシャーを掛けて、相手に思うようなオフェンスを展開させない。ディフェンスでのいい流れはオフェンスにも影響。富樫勇樹が序盤から気持ち良くオフェンスを展開していき、彼自身も第1クォーターだけで10得点を獲得した。彼のスコアにイエローに染まったアリーナからため息が漏れ、そして千葉ベンチ裏の一角を占めたレッドなエリアからは大歓声が起こった。加えてインサイド陣も大暴れ。特にギャビン・エドワーズは前半だけで14得点9リバウンド、マイケル・パーカーは11リバウンドとチームに流れをもたらす結果を残した。一方、栃木はオフェンスでこの日のために用意した新しい戦術が機能せず、個々で打開しようとする悪い流れに。22-36と千葉の14点リードで前半を終了した。
しかし、そう簡単に終わらないのがバスケットボール。ハーフタイムで目を覚ました栃木が一気に猛攻を仕掛ける。第3クォーターは歓喜の瞬間が次々と訪れ、アリーナが何度も揺れた。栃木らしい前からアグレッシブにディフェンスを仕掛けて流れをしっかりとつかむと、渡邉裕規の連続3ポイントシュートで完璧にスイッチが入り、その後も遠藤祐亮や比江島慎も同じように3ポイントシュートを沈めるなど一気に追いあげ。点差はあっという間に縮まり、第4クォーターにはゲームハイの18得点を獲得した比江島がゾーンに入り、試合終了残り8分で60-54と大逆転した。
しかし、栃木は自分たちのミスから流れを失う。いいディフェンスを見せた後に簡単にボールを失い、それが千葉のスコアにつながる。さらにその直後のプレーでテクニカルファウル。このチャンスを見逃さなかった千葉は、しっかりと自分たちのバスケットを展開して、再度同点まで追いついた段階でオフィシャルタイムアウトへ突入する。
その後は過去の対戦でも見せた手に汗握る1点を争う戦い。非常に重い展開が続いて我慢比べという流れになり、ラストは天皇杯で見せた時と同じように富樫が3ポイントシュートを狙う。これはエアボールになったが、ゴール下にいたのはアキ・チェンバース。しっかりとリバウンドに入り、そのままシュートをゴール下で決めて勝負あり。65-68と千葉が最後は逃げきり、チーム新記録の14連勝を収めた。
試合後、栃木の安斎竜三ヘッドコーチは落胆した表情でゲームを振り返った。
「前半はディフェンスの部分から自分たちがやろうとしていることができなくて、千葉さんに気持ち良くプレーさせてしまった。後半はある程度アグレッシブにディフェンスをして、勝つチャンスがあるところまで行って流れをつかんだけど、その時に自分たちのミスから相手に流れを渡してしまった。毎回同じことの繰り返しで……。本当に危機感を持っていかないと、もっと上に上がることが難しいかなと感じている。今日は千葉さんの強さが出たゲームだったとも思う。6点リードした段階で出たミスとテクニカルファウルは大きかった。それとオフェンスで新しいことを用意したが、うまくいかずに重い展開になってしまった。それは自分の責任です」
一方、千葉の大野篤史ヘッドコーチは勝って兜の緒を締めよというような形で課題を言葉にしながらコメントした。
「自分たちの得意なところや栃木さんの強みを消すようなディフェンスができたのは良かったけど、第3クォーターは栃木さんの強みが顕著に出てしまったと思います。あの時間帯はターンオーバーとセカンドチャンスの失点で12点与えてしまいました。その部分は自分たちにジャブのように効いてくるので、その目をつみ取っていかないといけません。それでもしっかりと勝ちきれたところは評価できると思います。たった一つのクォーターでのオフェンスリバウンドの部分だけでもゲームを栃木さんに圧倒されてしまいましたし、明日は40分間しっかりと自分たちのゲームができるようにがんばっていきたいと思います」
24時間後には再び合間見える両者。お互いの力が真っ向からぶつかり合うゲームになるだろう。自分たちのやるべきことにフォーカスし続けたチームに勝利の女神は微笑む。
文=鳴神富一
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