「素直に喜べなかった」地区優勝…出場停止明けの今村佳太「感謝しかないですけど、悔しさもあった」

今シーズン初の公式戦に出場した今村[写真]=B.LEAGUE

 4月13日、中地区首位の新潟アルビレックスBBは地区優勝マジック「2」として臨んだ同2位の川崎ブレイブサンダースとの天王山を制して中地区優勝を決めた。しかし、このクラブ初の快挙を心の底から喜べない選手がいた。今村佳太だ。

 昨年8月の 「第18回アジア競技大会」期間中、日本代表選手として不祥事を起こした今村。当初は1年間公式試合出場権がはく奪されていたが、11日に日本バスケットボール協会(JBA)から処分解除を受けた。川崎との第1戦の第2クォーター開始1分25秒、今シーズン初となる公式戦のコートに立った瞬間を、今村は「色んな方に支えてもらって復帰させてもらったので、感謝の気持ちしかなかったですね」と振り返る。しかし、地区優勝決定を告げる試合終了のブザーが鳴り歓喜の輪が広がる中、彼の表情はどこか冴えないようにも見えた。今村は、その時の心境をこう話す。

「自分の中で素直に地区優勝を喜べたかって言われると、やっぱり迷惑をかけた部分が大きかったので、本当に喜んでいいのかなって部分はありました。もちろん嬉しかったですし、その場に立ち会わせていただいたのは本当に感謝しかないんですけど、悔しさもあったので素直に喜べなかったですね」

チーム全員での写真撮影でも、今村の表情は硬かった[写真]=B.LEAGUE

 それでも、いざ試合になればベンチから積極的に声を出し、コートに入れば「チームメートの方々に『気にせず自分らしくプレーしろ』と声をいただいたので、自分らしくプレーできたと思います」と話したとおり、第1戦では3ポイントを含む7得点3アシストをマーク。2点差で勝利したことを考えれば、今村は間違いなく新潟の地区優勝に貢献したと言える。

 続く第2戦では約12分間の出場で2得点を挙げるにとどまり、「まだまだ足りないかな」と話すも、「まずはチームにどれだけエナジーを与えられるかだと思っていました。声かけであったり、ディフェンスの部分にフォーカスしてやろうと思っていました」とこの2日間を振り返った。

 もし連敗していたら、地区優勝を逃していた可能性もある敵地での天王山を乗り越えた新潟。レギュラーシーズン最終節はホームに戻り、横浜ビー・コルセアーズを迎え撃つ。今村は「緊張と楽しみのどっちもありますが、まずは今回犯してしまったことの謝罪と感謝の気持ちを持ってプレーすることが大切なんじゃないかなと思っています」と述べ、「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2018-19」へ向けては「ディフェンスでは足を使って、身長もあるのでアグレッシブにいきたい。オフェンスではドライブでペイントエリアまでアタックすることが自分の強みだと思っていますし、3ポイントも打てるのでチームがバランス良くバスケットをできるようにしたいです」と意気込んだ。

チャンピオンシップでチームへ恩返しができるか[写真]=B.LEAGUE

 庄司和広ヘッドコーチに「シーズンが始まる前は彼を中心に考えていたところもありました。CSに向けても彼の力は必要です」と言わしめる今村の復帰は、初のCSに臨む新潟にとって重要なピースとなる。

文=小沼克年

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