5月5日の「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2018-19」セミファイナル第2戦で千葉ジェッツに敗れ、栃木ブレックスの2018-19シーズンが終了した。
この試合の最終スコアは83-88。第4クォーター序盤には最大16点リードを奪われたが、試合終了残り1分46秒に10点差まで詰めると最後まで死力を振り絞った。
「最後の最後までチーム全員で粘ったんですけど、あと一歩及ばずでした。でも最後まで全員で力を合わせて戦い抜いたこと、それができたのもファンの方々がたくさん応援してくれたおかげだったので、本当に感謝しています」
敗戦後、やや暗いトーンで試合を振り返った田臥勇太は、第1戦で負傷したライアン・ロシターに代わってこの大一番にエントリーされたアンドリュー・ネイミックについても言及。ゴール下のシュートやフリースローを落とすなどで無得点に終わった同選手を擁護した。
「彼にとっては毎回難しいシチュエーションだと思います。こうやっていつでも準備しなきゃいけないし、1試合の結果が求められる。それでもシーズンをとおして一生懸命練習からやってくれたし、今日も最後まで戦ってくれました。そういう選手がいるからチームがまとまってがんばろうという思いにもなれる。ケガ人は出てしまいましたけど、その分みんなで戦おうという気持ちが強くなりました」
もっとも、今シーズンを振り返れば田臥自身もケガに悩まされた「非常に悔しいシーズン」となった。チーム在籍11年目を迎えた今季は、開幕前のアーリーカップでは調整のためプレータイムを制限していたが、シーズン開幕にしっかりと照準を合わせて10月6日の開幕戦から6試合連続で先発出場。第2節の富山グラウジーズ戦では15得点9アシストというスタッツも残し、未だ衰え知らずの田臥勇太は健在だった。
しかし、10月21日の第4節から腰痛を理由に戦列から離れ、そこから約5カ月もの期間、試合に出ることができなかった。その間、ホームゲームではベンチから声を出して仲間にアドバイスを送る姿が見られたが、離脱した当初は敵地での試合に帯同せず。喜多川修平らとともにトレーニングに励んだ。
「戦ってる気持ちは一緒なので、自分ができることを考えて毎日チャレンジしていた」栃木の主将は、3月27日に行われた第30節のホームゲームで待望の復帰を果たした。だが、自身のパフォーマンスには決して満足しておらず、シーズンを終えた今は「戻ってこれたところで終わってしまった」というのが素直な印象だという。続けて「来シーズンに向けてという思いは例年より強い」と話した。
ケガでシーズンの大半を棒に振った38歳が口にしたこの言葉は、“引退”の2文字がよぎるファンにとっても朗報と言えるだろう。「全くならないんですね! やっぱりまだ」と声のボリュームを上げて嬉しそうに話した田臥は、この時すでに来季を見据えていた。
「楽しいですね。もちろん負けて本当に悔しいですけど、勝つ時もチームだし負ける時もチームだと思っているので、それをみんなでやりきれたからこそ、次に目を向けているのかなと思います」
「(試合に)出れるようになったらなったで、もっと出たいと思いますし、これができたら、もっとできるとか。勉強になったシーズンになりましたが、その分悔しいシーズンにもなってしまったので、来シーズンに向けてのモチベーションになっています」
今年で39歳となる栃木の大黒柱は、まだまだ衰えを知らないチャレンジャーだ。
文=小沼克年