5月12日に行われた「B2・B3入替戦 2018-19」に勝利してB2昇格を成し遂げた越谷アルファーズは、リーグベスト5に選出されたカイル・リチャードソンや日本でのキャリアも長く現在帰化申請中のジョシュ・ペッパーズ、日本人選手では195センチのアシストメーカー長谷川武や3x3で日本のエースを張る落合知也など、B3ながら目を惹く選手が多い。
その中で、目立つ存在ではないがチームに欠かせないのが鳴海亮だ。新潟アルビレックスBBでプロデビューした鳴海は、昨季から越谷でプレー。選手の多くがアマチュアというメンバー構成にあって、鳴海は上記の4人やルーク・エヴァンスとともにプロ契約選手として在籍している。今季の欠場は2試合しかなく、ファーストステージ、レギュラーシーズン、ファイナルステージでは出場計58試合中55試合でスターターと、青野和人ヘッドコーチも信頼を寄せる司令塔だ。
入替戦でも鳴海はその実力を発揮した。この試合の得点は3ポイント3本の9点のみだったが、大量リードから徐々に詰め寄られた第1クォーターの最後に決めたブザービーター3ポイントなど、いずれも相手にダメージを与える効果的な一撃だった。もちろん、ポイントガードとしてのコントロールという点でも、チームの勝利への貢献は大きい。
「個人的にはもう少しアタックしたり、ピック&ロールを使ってアシストしたりしたほうが良かったかなとも思うんですが、3ポイント3本に関しては良かったと思います。テンポを上げて走っていこうというチーム認識の中で、疲れてくる時にしっかり落ち着かせてメリハリをつけようという意識でプレーして、その部分もうまくできたのかなと思います」
鳴海にとってこの入替戦が特別だったのは、相手が東京八王子ビートレインズという自身の古巣だったことだ。対戦が確定的となった時点を振り返って「『マジか……』と思いました」と苦笑いする鳴海だが、「ここでトレインズと当たるのも何かの運命なのかなと思って、『やるしかないんだ』という気持ちで臨みました」と意を決した。その覚悟が、緊張感の走る大舞台でも普段通りに力を発揮できた要因だろう。
B3総合優勝は逃したものの、クラブとしての目標は達成。「プロ化してここまでとんとん拍子に進むとは思いませんでした。B2でもやっていけるんだという姿を見せていきたい」と来季への決意を新たにした鳴海。プロクラブとして走りだした越谷に不可欠な戦力として、1つ上のステージでも陰に陽に存在感を示すことだろう。
文=吉川哲彦