馬場雄大(アルバルク東京)が「BリーグからNBAへ」という夢にまた一步近づいた。
9月17日、都内で馬場の海外挑戦記者会見が行われ、馬場とともに登壇したトヨタアルバルク東京株式会社代表取締役社長の林邦彦氏から「ダラス・マーベリックスから正式なオファーを受けました」と発表された。
今回のオファーはNBA選手としての本契約ではなく、まずは9月末に行われるマブスのトレーニングキャンプへの参加オファー。6月に同チームのミニキャンプに参加し、その後のサマーリーグでのプレー、ポテンシャルが評価され、「FIBAバスケットボールワールドカップ2019」開幕前の8月にオファーが届いた。林社長によれば、「ワールドカップ後に契約内容を固めていきましょう」と、チーム側に伝えられたそうだ。
「ミニキャンプから自分の強みを出せたことがこういう形になりました。自分がバスケを始めた時から夢であったNBA、アメリカでプレーすることの第一歩が始められるので僕自身ワクワクしています」と馬場は会見の冒頭でコメント。「自分の力だけではこの舞台に立てていないので、これからも感謝を忘れずに自分の夢に向かって突き進んでいきたい」と、A東京を始めとする周囲の方々への感謝も述べた。
大学時代から海外挑戦を公言していた馬場は、「自分の中に信念を持ってやり続ければ『不可能はない』と身を持って体感した」という。「大学時代はただの夢でしかなかったですが、(夢を)言葉で発したり、そのためにがんばることによって周りの方が動いてくださったり夢が目標に変わってきました」。
日本代表でともにプレーする渡邊雄太(メンフィス・グリズリーズ)と奥田中学校の後輩にも当たる八村塁(ワシントン・ウィザーズ)は、一足先にNBAの舞台でプレーしている。2人が高校卒業後にアメリカへ渡り、己の道を突き進む中で、馬場は多少のもどかしさを感じていた。それでも、大学時代の恩師でもある吉田健司コーチ、A東京のルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチから「ただアメリカに行くだけでは意味がないし、そんな甘い世界じゃない」と指摘され、考え方が変わった。「BリーグからNBAに行くパイオニアになりたい」と。
今後は、10月23日(現地時間22日)に開幕するNBA2019-20シーズンの最終メンバー入りを目指すことになる。奇しくもマブスが開幕戦で対戦するのは、八村が所属するウィザーズだ。「もし一緒にコートでプレーすることができれば夢のようですし、日本バスケ界にとっても今まで考えられなかったようなが光景が作れると思う」と、馬場のモチベーションはさらに上がった。
東京オリンピックを1年後に控えたこのタイミングで海外挑戦、ましてや世界最高峰のNBAに挑むということは、プレータイムが減るというリスクもある。しかし、目標であり夢でもある「NBAでプレーすること」に近づくことができる現在の馬場は「マイナスなことよりもプラスなことしか考えていない」。
「プレータイムは自分次第でいくらでも獲得できますし、今は最高峰のレベルでやれるということ自体にワクワクしています。僕の負けず嫌いな性格上、やる相手のレベルが高いほど自分を高められるので、日本に還元できることの方が多いと思っています」
「僕の夢はここから始まる」
23歳の若武者が、まだまだ日本のバスケ界を盛りあげてくれそうだ。
文=小沼克年