日本代表定着を目指すベンドラメ礼生「メンバーに入るという思いは非常に強いです」

 新たな年となった2020年、今年は日本バスケットボール界にとって重要なターニングポイントの1年になるだろう。それは東京オリンピックという世界最大のスポーツイベントへの出場が控えているからだ。特に男子日本代表は開催国枠として44年ぶりの出場となる。日本代表に名を連ねる可能性がある選手たちはBリーグの舞台で自身の成長を図りつつ、目の前の勝利に向けて必死に戦っている状況だ。昨年夏に行われたFIBAワールドカップ2019中国では5戦全敗。そこからステップアップして、東京オリンピックの舞台で世界の強豪たちを相手に勝利を掴み取るためにも、Bリーグでの日々の戦いが非常に重要になってくる。

 2019年2月に「FIBAバスケットボールワールドカップ2019 アジア地区2次予選 Window6」で初の日本代表の一員に選ばれ、ワールドカップ出場の瞬間を経験したのがサンロッカーズ渋谷ベンドラメ礼生。それでも彼は中国で行われた本戦に出場する夢を叶える事ができなかった。嬉しい事も悔しい事もあった2019年、彼はこう振り返ったのである。

「オフシーズンは代表の事が凄く忙しくて、最終的にワールドカップのメンバーに入れなかったり、色々と経験できました。悔しくもあり、そしてメンタル的にも浮き沈みのある1年間だったと思います。でも、Bリーグの新しいシーズンになってメンバーも入れ替わってキャプテンとしてチームを引っ張っていく中で、チームに良い心を持っている選手たちが集まってきてくれたので、今は凄くやりやすいです。一人一人が向上心というか、前を向いてチームを引っ張っていこうというリーダーシップも発揮してくれているので、凄くいいチームができています」

 日本代表でワールドカップに出場する事ができず、悔しさを持ちながら迎えた今シーズン。チームは強豪ひしめく東地区の中で開幕直後スタートダッシュが切れ、非常に良い位置に付けている。その中で彼自身、今シーズンはポイントガードというポジションで開幕を迎えた。それは日本代表という言葉がキーワードにある。

「彼にはシーズン最初からポイントガードをやらせていて、そこをする事によってレオらしさが無くなっているというのは感じていません。代表に入るには多分ポイントガードでしか入れないというところで、ポイントガードをしながら切り込む事ができる日本人はそうそう居ないので、凄く上達しているのかなと思います」と伊佐勉ヘッドコーチはポイントガード起用の理由を語ってくれた。代表入りという後押しもあるが、よりチームがアグレッシブに戦う事ができる為の選択でもあるだろう。

積極的にリングへアタックをみせた [写真]=鳴神富一

 ベンドラメ自身も「代表に入る事が1つのモチベーション」と断言した上で、ポイントガードを担う手応えを語ってくれた。「ただパスを回すだけなら僕じゃなくてもできるし、今僕が勝ち残る事ができるのはリングにアタックして点数に絡む部分や積極的なドライブだと思うので…そういう部分を昨シーズンは2番ポジションで積極的にできていました。今度はポイントガードとしても消極的にならず、しっかり自分が行ける時は行けるように、チームとして得点が欲しい時に取れるガードというのは目指している所ですね」

 日本代表に選ばれて東京オリンピックに出場する、彼にとってはキャリアの中で非常に大きな事であるのは間違いない。しかし、オリンピックという1つのポイントではなく、常に代表で試合に出続ける事が目標であると断言した。

 「もちろんオリンピックが日本であるというのは凄く大きな事ですし、そこを目指すのはもちろんです。ですけど、あくまでも僕の中では日本代表のメンバーとしてオリンピックや大きな大会がどこで開催されようが、メンバーにしっかりと残って試合で活躍しない事にはメンバーに入っても試合に出ないという状況であれば一緒だと思っているので…今、自分の目の前にあるのが東京オリンピックであり、そこのメンバーに入るという思いは非常に強いです」

「代表に入る事が1つのモチベーション」と語った [写真]=鳴神富一

 2020年を迎えてベンドラメの髪は輝く金色に変化をしていた、まるで東京オリンピックでの金メダルを目指すという意気込みなのか尋ねると「金メダルって書いてもらった方がいいかな(笑)」と冗談っぽく笑った後に、真意を話してくれた。「2020年に変わるし、そろそろ明るくしようかなと。色を変える時に金色以外にするとユニフォームとマッチしないのはマズイかなと思って、それで金に落ち着きました」

 しかし、最後に2020年の抱負を聞かれると自分自身輝きたいという思いが強く言葉に現れた。

 「やっぱり一人の選手としてみんなに認められるじゃないですけど…Bリーグの中で止められないなとか『あいつは上手い』だったり、Bリーグで上手い選手って誰?となった時にポンと自分の名前が出てくるような存在感を残したいなと思っています」

 金色に輝く存在になってチームを先頭に立って牽引し、そしてその先にある日本代表という場所に自分自身が定着する為に。ベンドラメの強い決意は揺るがない。

写真・文=鳴神富一

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