2020.03.18
1月9日に幕が開けた「第95回天皇杯 全日本バスケットボール選手権大会」のファイナルラウンド。同日に行われた準々決勝第1試合は、第1クォーターで24-9とスタートダッシュに成功したサンロッカーズ渋谷がレバンガ北海道を16点差で退けた。
チームとしては日立サンロッカーズ東京時代の2015年以来となる天皇杯優勝を目指すSR渋谷。「トーナメントの入り方は、そのあとの勢いをつけられるかが大事なのかなと。そういう意味では今日はチームで激しいディフェンスができたんじゃないかなと思います」。そう話すのは今季からSR渋谷に移籍した石井講祐だ。
この日ベンチスタートの石井は、試合をとおして約7分間の出場で3得点にとどまった。しかし、現在の石井は11月上旬に負傷した右足関節捻挫のケガから復帰したばかりということもあり、まだまだ本調子ではない。リーグ戦に復帰したのはゲカから約1カ月半後の12月25日であり、復帰後は天皇杯準々決勝を含めて6試合に出場しているが、プレータイムはいずれも10分に満たないほどだ。
それでも、石井自身は「まだ復帰したてなので探りながらやっている」と認めつつも、「今できる100パーセントのパフォーマンスはできていると思うので、これからコンディションを戻していきたい」と、“完全復活”へ向けて順調に段階を踏んでいる。
この試合では、終盤まで得点はフリースロー1本のみだったものの、第4クォーター残り1分27秒には個人技からジャンプシュートを沈めた。ドライブから得点を奪ったこのプレーには、石井のこんな考えがあった。
「トーナメントが続くので、いいリズムを少しでもつかんでおきたかった。なので、アグレッシブにシュートを狙いに行きました」
石井自身、天皇杯という一発勝負のトーナメントとは相性がいい。昨シーズンまで所属していた千葉ジェッツでは、前回大会まで3連覇を成し遂げたからだ。
今大会の千葉は2次ラウンドで敗退したものの、石井にとっては自身として4連覇の可能性が残されている。その“偉業”には本人も頭に入っているようだが、とくにプレッシャーには感じていないという。「いい意味で4連覇できるチャンスがあるので、そこはモチベーションにしています。でもプレッシャーとかではなく、楽しんでいます」
キャプテンのベンドラメ礼生を筆頭に関野剛平、盛實海翔など個性豊かな若手選手がそろう新天地で、「得点を取ることもですけど、ゲームの流れを呼んでその都度必要なプレーを選択することが求められている。僕がゲームに出てる時はいい流れに持っていきたい」と石井。
トーナメントの勝ち方を知るベテランシューターの存在は、優勝を狙うSR渋谷にとっても追い風しかない。新加入の優勝請負人が、準決勝ではどんなプレーでチームを助けるのか注目したい。
文=小沼克年
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