「今日は出だしからアルバルクのバスケットができたと思います。オフェンスではいつも以上に走れていたし、ディフェンスでもやられてはいけないオフェンスを(相手に)やられてはいなかったので」と、アルバルク東京の安藤誓哉はシーホース三河との準々決勝をこう振り返った。
試合は、序盤からペースをつかんだA東京が、アレックス・カーク、竹内譲次を起点にアウトサイド陣の3ポイントシュートも要所を締め、内外バランスの良い攻撃を見せる。ディフェンスでも三河のポイントゲッター金丸晃輔、桜木ジェイアールらに執拗なマークで仕事をさせず。攻防にわたって主導権を握ったA東京が73-55で快勝した。
2017-18シーズンのBリーグチャンピオンのA東京だが、昨年の天皇杯ではファイナルラウンドに不出場。3次ラウンド(6回戦)で京都ハンナリーズに敗れた苦い思い出がある。しかし、今年はファイナルラウンド出場が懸かった2次ラウンドで、昨年同様に日本代表選手を欠きながらの戦いとなったものの、「本戦(ファイナルラウンド)に出るというチームのモチベーションは高かった」(安藤)と、接戦に競り勝った。
「日本代表選手たちが必死で戦っている中、昨年は接戦で負けたので、今年は何が何でも(ファイナルラウンドに)出て優勝するというのが目標です。2次ラウンドはライジングゼファー福岡との激戦だったので(79-72)、その勝ちをそのままつなげたいという気持ちでやっています」と、安藤は今大会に懸ける思いを語ってくれた。
その言葉どおり、初戦の今日、激しいディフェンスやオフェンスでは積極的に速攻に絡むなど、アグレッシブなプレーを披露した安藤。「シュートを打つところは思いきって、打ちきりました。それがチームの流れになったのかなと思うので、まずまずだと思います」と、自身の出来にはやや控え目なコメントだが、間違いなく、チームに勢いをもたらす原動力となっていた。
天皇杯はリーグ戦とは違い一発勝負のトーナメント戦。「自分たちがやっていること、今までやってきたことをどれだけ基本に忠実に普通に出せるか。それが一番大事だと思います」と、安藤は戦い抜くポイントを挙げるとともに、「ヘッドコーチから言われているとおり、(トーナメント戦でも)そんなにハイテンションにならず、冷静にアグレッシブにやることが大事だと言われているので、それをしっかりと考えながらやっています」とも語った。
優勝すれば前身のトヨタ自動車以来、7年ぶりとなるA東京。あと2試合、“心は熱く、頭は冷静”な司令塔がチームを頂点へと導く。
文=田島早苗