3月13日、さいたまスーパーアリーナにて『第96回天皇杯・第87回皇后杯全日本バスケットボール選手権大会』のファイナルラウンド決勝が開催。7年ぶりの栄冠を狙う川崎ブレイブサンダースが宇都宮ブレックスと対戦した。
今大会、川崎はベスト8からの出場。現在東地区2位の千葉ジェッツを接戦の末、最終スコア72-62で制し、ファイナルラウンドへ。準決勝でも、シーホース三河を最終スコア79-67で下し、宇都宮との決勝へ臨んだ。
川崎は、第1クォーターこそ19-20とリードを許すも、ニック・ファジーカス、パブロ・アギラール、ジョーダン・ヒースの“ビッグラインナップ”が機能し始めると、増田啓介や大塚裕土の外角シュートで、リードを伸ばし、41-34で試合を折り返した。第3クォーターでは、一時宇都宮へ流れが傾きかけたが、辻直人が連続で3ポイントシュートを沈め、再度リズムを掴んだ。最終クォーターでも、出場した全員が軽快なプレーを見せ、終わってみれば16点差の快勝。Bリーグ開幕以降、初のタイトルを手にした。
試合後、メディアの取材に応じた佐藤賢次ヘッドコーチは「優勝という形でこの大会を終えることができて本当に嬉しいです」と安堵の表情を浮かべた。また、「選手、コーチそしてチームスタッフ、クラブ全体でハードワークして、一人ひとりが頑張った成果だと思います。決勝は、宇都宮ブレックスさんでしたが、最後の最後まで食らいついてきたというか。ブレックスさんも素晴らしいプレーをしていたので、その健闘を讃えたいと思います」と関係者への感謝の気持ちを述べた。
「これは止められないですよ」と胸を貼る
佐藤HCは、試合前には1時間半に及ぶチームミィーティングを行い、こう話したという。
「『BE READY』というコンセプトがどんな時でもできているし、積み重ねてきた習慣は揺らぐことはないから、それを続けていこう」
その言葉に応えるかのように、選手は激しいディフェンスを40分間見せた。これには、指揮官も「1番は戦術よりかは、自分たちのベースである“ディフェンスから入る”というマインドで、積み上げてきたディフェンスを続けられたこと」と選手を賞賛。「『激しいプレーが軸で、ニック(・ファジーカス)の強みを活かした高さのアドバンテージの融合が優勝へのカギ』と選手に伝えていて、その強みを生かしつつ、強度の高いプレーが続けられたので、チームが強くなってきたなと感じました」。
川崎は、1試合平均72.4失点でリーグ最小失点の宇都宮を相手に、76得点を奪取。これには指揮官も「激しくディフェンスしてくると想定していて、その中でニックに集まったディフェンスを生かして、5人が攻める。周りが攻める意識を強調してきましたし、それがこの結果になったと思います。“これは止められないですよ”と手応えを感じています」と胸を張る。
さらに「チームで戦えたこと」と指揮官が話すように、川崎は出場した選手がバランスよく得点し、的を絞らせない攻撃を見せた。佐藤HCも「我々は、ベスト8からの出場でしたけど、千葉ジェッツ戦で、ケガ人はいましたが、チームで戦えたことで、チームが1つになれました。リーグ戦も厳しいスケジュールで試合があったり、ケガ人がでたりと色々とありましたが、このチームはそれを前向きにクリアできるエネルギーがあるチームなので、課題を乗り越えてきたのがこの優勝に繋がっていると思います」とチームでの勝利を強調する。
「ビッグマンに3ポイントを打てる力があって、ガードに中まで切り込む力があって、(戦略に)手応えを感じているところです。今日に関してはチームで作ったシュートチャンスを誰もが(決められる)って感じでした。ブレックスさんは、簡単にチャンスを作らせてくれるチームではないので、空いたチャンスを狙うことを40分間やり続けようと思っていたので、その結果かなと思います」
決勝という大舞台で“BE READY”を体現した選手たち。川崎は、レギュラーシーズン直近10試合で9勝1敗と波に乗っており、天皇杯優勝は、悲願のリーグ制覇に向けてさらなる追い風となるだろう。