2021.04.14
3月13日、さいたまスーパーアリーナにて「第96回天皇杯・第87回皇后杯全日本バスケットボール選手権大会」のファイナルラウンドが開催。宇都宮ブレックスは、決勝戦で川崎ブレイブサンダースと対戦した。
宇都宮は、ここまで3度決勝へ進出。第1クォーターこそ、20-19と互角の戦いを見せたものの、第2クォーター以降川崎にペースを握られ、最終スコア60-76で“3度目の正直”となった今大会でも、優勝を手にすることができなかった。
試合後、メディアの取材に応じた安齋竜三ヘッドコーチは以下のように敗因を分析した。
「今日のゲームは、選手たちはゲームプランを遂行しようと頑張ってくれたと思いますし、僕の戦術でもっと気持ち良くプレーさせてあげられなかった。第1クォーターはそれなりにトランジションから点を取れたのですが、セットオフェンスになると、ビッグラインナップのディフェンスを打開できなくて、苦しい時間になりました。そういう時間に、イージーなレイアップや3ポイントをやられると苦しくなると分かっていましたが、そこを川崎さんがやり切ってきました。選手は、我慢してスイッチの部分もディフェンスしてくれていたので、あとは戦術なので、次対戦する時はもっと対策して、自分たちが上に行けるようにしたいと思います」
「うちの強み(リバウンド)を出しきれなかった」と安齋HCが話したように、勝敗を分けた要因の一つとして、リバウンドが挙げられる。宇都宮は、川崎のニック・ファジーカス、パブロ・アギラール、ジョーダン・ヒースの“ビッグラインナップ”に苦しむと、オフェンスリバウンドから得点を許した場面が多く見受けられた。しかし、宇都宮はリーグ戦では、1試合平均35.8本でリーグ3位の好成績を残してる。
「川崎さんのビッグラインナップの時間も長く、そこでうちの強みを出しきれなかった。逆にそこでオフェンスリバウンドを取られてしまったので、そこは全員に言っていましたけど、リバウンドを取りきれなかったし、次川崎さんとゲームがあります。その時の対策として、今日の反省点として繋げていきたいと思います」
しかし、敗戦の中でも安齋HCは、テーブス海や比江島慎の活躍に一定の手応えを感じていた。
テーブスはリーグ戦で、平均17分のプレータイムを獲得している。この試合では、約11分間の出場にとどまったものの、最終クォーターには2連続で3ポイントシュートを沈めるなど、随所に存在感を見せた。
「前半ディフェンスの部分で、(テーブス)海の部分をやられましたが、うちはタイムシェアをするスタイルなので、どこかのタイミングで海も使おうと思っていました。こういうゲームでなかなかプレータイムをもらえずに、ああいう場面で出場して、萎縮してしまったり、ミスを繰り返してしまったりする選手もいる中で、海はそこを切り替えて、3ポイントも決めてくれましたし、ディフェンスも頑張ってくれたので、今後のリーグ戦に繋がるプレーだったなと思います」
比江島はケガの影響もあってか、リーグ戦を含め、日本代表の点取り屋は鳴りを潜めていた。しかし、この試合では比江島自身も「アグレッシブにやろうと思っていた」と語ったように、チーム最多の12得点をマークした。
安齋HCも「マコ(比江島)は、ケガもあって難しいシーズンですが、日本を代表する選手ですし、今日みたいな苦しい展開を打開してくれます。今後チームとして『マコが生きるから周りも生きる』のような相乗効果を出せるような戦術をやれれば。今日は、川崎さんのディフェンスで一人ひとりという感じにさせられてしまったので、そこを全員で上手く回っていけるようなオフェンスをやっていきたい」とコメントした。
そして安齋HCは「この悔しさを東地区優勝して、チャンピオンシップに繋げることで晴らしていきたい」とリーグ戦に向けた意気込みを語った。
宇都宮は現在、34勝8敗とリーグ1の成績で、強豪ひしめく東地区首位を独走中。地区優勝へのマジックも『16』としている。天皇杯で悲願を達成できなかったものの、指揮官は初年度以来のBリーグ制覇に向けて、より一層闘志を燃やしていた。
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