12月6日、神奈川県川崎市内にて株式会社ディー・エヌ・エー(以降DeNA)と株式会社東芝による川崎ブレイブサンダースの承継合意および2018年-2019年シーズンからのオーナー変更に関する報道関係者向け説明会が行われた。
横浜DeNAベイスターズの事業運営の手腕を買われて、2018年1月以降に設立予定のDeNAバスケットボールの代表取締役に就任した元沢伸夫氏は会見の中で、バスケットボールチームを運営するにあたって、プロ野球運営のノウハウをどう活かしていくかなど問われ、3つのポイントを挙げた。
元沢氏は1つ目のポイントして「まずはチームが強いこと。勝敗が大事です」と、プロスポーツチームとしての質的な魅力について触れると、2つ目のポイントとして「来場されたお客様に、『今日(観戦に)来て楽しかった!』と思ってもらえるような、総合的なエンターテインメント空間を作りたい」と語り、試合だけではなく“場の提供”を含めた総合的な娯楽としての魅力の重要性について言及。最後に「子どもたち。川崎にいる多くの子どもたちに、バスケットボールを通じて心身ともに成長してもらいたいので、スクール事業の強化につなげていきたいです」と元沢氏。地域、そしてその地域で育つ子どもたちへの貢献を挙げ、事業承継後のクラブ運営に関するビジョンを示した。
また、「観戦スタイルやお客様の層は違うと思うが、(プロスポーツ運営の)メソッドしては、お客様が何に満足していて、何に満足していないのかということを考えること。そして実行にあたっては、徹底的に質にこだわるという2つのメソッドは通用すると思います」とし、野球とバスケットボールという競技としての違いはありつつも、これまでのノウハウを活かしたうえでのクラブ運営に自信をのぞかせた。
元沢氏は今シーズン、日本シリーズにも進出し、観客動員でも躍進を続けるベイスターズの事業運営における中心的な人物。DeNAの岡村信悟スポーツ事業本部長が「(今シーズンの観客動員)198万人を集めることができたのは、チームが強くなったことと事業が成功したことがあると考えている。プロ野球球団運営のすべてのノウハウが通用するわけではないかもしれないが、違った特色をもったバスケットボールチームの運営にも活かせると思います」と語ったとおり、その手腕への信頼も厚い。
横浜スタジアムの買収など、これまでの球界の常識を覆し、DeNA流でプロ野球界に新しい風を吹き込んだ元沢氏。そのノウハウが、日本のバスケットボール界にどのような変化をもたらすのか。運営体制の移行が完了するのは2018年7月1日ながらも、今後の動向に注目していきたい。