サンロッカーズ渋谷に新加入した渡辺竜之佑は、今シーズン主に司令塔としてプレーする。「B.LEAGUE EARLY CUP 2019 KANTO」では、3試合すべてで先発ポイントガードを担った。
渡辺の持ち味といえば、189センチながらタイミングよく飛びこんでボールを奪う、“リバウンド”が真っ先に浮かぶだろう。昨季在籍した新潟アルビレックスBBでは、レギュラーシーズン平均11分44秒というプレータイムの中で、平均3.2リバウンドをマークする活躍を見せた。しかし、SR渋谷を率いる伊佐勉ヘッドコーチの目にはこう目に映っている。
「彼の力を一番発揮することができるのはポイントガードです。1番(ポイントガード)以外考えられない選手ですし、あのサイズで背を向けずにボールを運べるのでチームとしても助かります」
伊佐HCと渡辺は、過去にも同じチームでコーチと選手の関係だった。渡辺が専修大学4年次に特別指定選手として琉球ゴールデンキングスに入団した2016-17シーズンのことだ。
「入団1年目の琉球の時、伊佐さんに1番でのプレーをお願いされました。ガードは身長の低い選手が多いので、そこでギャップを作ってリバウンドで貢献できればいいと思っていました」と渡辺は当時を振り返ったが、伊佐HCと再び同じチームとなった今季、ポイントガードでのプレーを言い渡された際の心境を聞くと、「不安しかなかったですね……」と思わず苦笑いした。
伊佐HCから個人として要求されることは、琉球時代と「大して変わらない」。それでも、今回のアーリーカップでの自身の出来は「全然ダメ」と総括し、「フォーメーションをコールする時に、周りの選手に聞こえていなかったり、いらないターンオーバーもありました」と渡辺は肩を落とした。
「新潟では長い時間ボールに触れることはなかったです。久しぶりにドリブルすることが多くなったので、やっぱりボールをつくのが少し怖かったりもします。まずは『ミスをしない』とか1つずつ目標を立てて取り組んでいるので、徐々に慣れていきたいです」
今シーズンのSR渋谷は、千葉ジェッツから移籍していた石井講祐を筆頭に、田渡修人や杉浦佑成などアウトサイドシュートを得意とする選手がそろう。ポイントガードでもプレーできるベンドラメ礼生、山内盛久も同様だ。
新天地で昨年までと異なる役目を担う25歳は、「僕がしっかりとコントロールしつつ、いいパスを出してシューター陣には気持ちよく打ってもらいたいですし、リバウンドでも貢献したい」と青写真を描き、急ピッチで10月5日の開幕戦に照準を合わせる。
文=小沼克年