【インタビュー】Bリーグ初の2年連続MVPへ…大塚裕土、地元オールスター出場への道

3年連続のオールスター出場を目指す大塚に意気込みを聞いた

Bリーグ4年目が開幕して早1カ月。11月1日からは2020年1月18日に開催される「B.LEAGUE ALL-STAR GAME 2020 IN HOKKAIDO」のファン投票がスタートしている。今シーズンはどんな顔ぶれが北海道の地で華麗なプレーを見せてくれるのか——。徐々に期待が膨らむ中、虎視眈々と意欲を燃やす選手がいる。川崎ブレイブサンダース大塚裕土だ。今年開催されたオールスターでは計6本の3ポイントを沈めてMVPを獲得した大塚だが、来年のオールスターはまだ出場できるという保証はない。北海道名寄市出身でもあるリーグ屈指のイケメンシューターが、地元でのオールスター出場、リーグ初となる2年連続MVPへ向けどんな青写真を描いているのか、話を聞いた。

インタビュー・文=小沼克年
写真=小沼克年、B.LEAGUE

地元での祭典、今回の方が出たい気持ちが強い

――チームは現在9勝3敗で中地区首位。開幕から好調をキープしていますが、ここまでのご自身の出来はいかがですか?
大塚 単純にもっとできるんじゃないかなと思っています。ディフェンス面の手応えはありますけど、オフェンスは3ポイントとフリースローの確率を上げていきたいです。あとは、もうちょっとアシストの数も増やしてニック(ファジーカス)や(ジョーダン)ヒースに得点を取らせてあげることができれば、オフェンスもさらに機能すると思います。

――オフェンスでの役割は主にアウトサイドからの得点だと思いますが、アシストも意識しているのですね。
大塚 川崎のオフェンスはピック&ロールを使うことが多いですし、ズレを作って相手を抜いたとしてもそのあとの技術がないとうまくいかないので意識していますね。

――ディフェンスに関しては、オフシーズンに取り組んできた成果が出ているという印象ですか?
大塚 そうですね。チームとしてもそうですけど、僕自身としても昨シーズンよりディフェンスの意識が強くなりましたし、足も動くようになったので非常に手応えがあります。

――今季のレギュラーシーズンも約1カ月が過ぎ、11月1日からは「B.LEAGUE ALL-STAR GAME 2020 IN HOKKAIDO」のファン投票がスタートしました。大塚選手は2018年から2年連続で出場していますね。
大塚 熊本開催の時は最後の1人を決めるSNS投票での選出だったので、正直、選ばれただけで満足していました。でも、今年のオールスターはスタメンで出れるファン投票での出場、MVPも受賞できたのでとても嬉しかったですね。

――その富山で開催されたオールスターでは24得点の活躍を見せました。MVPは最初から狙っていたのですか?
大塚 いや、全く狙ってなかったですよ。熊本の時に3ポイントを1本も決められなかったので、前回はまず決めることを第一目標にしていたんです。でも前半で2点しか取れていなかったので、ハーフタイムの時にめちゃくちゃ焦ってて……(苦笑)。狙える状況ではなかったです。

――でも、第3クォーターでは1人で6本の3ポイントを沈めて20得点をマークしました。ハーフタイムにチームメートから何か声をかけられたのですか?
大塚 チームメートからは特になかったですけど、千葉ジェッツの大野(篤史)さん(B.WHITEヘッドコーチ)が僕に3ポイントを打たせるシチュエーションをボードに書いてくれたんです。「このプレーでまず1本決めよう」という指示があったので、絶対に決めなきゃなという思いはありましたね。でも指示があったのはその1本だけでしたし、そのあとも僕にボールを集めるという感じではなかったので、流れの中でああいう結果になりました。

「MVPはみんなに獲らせてもらった」と、大塚は前回のオールスターを振り返る

――MVP獲得の裏にはそんなエピソードがあったのですね。
大塚 チームメートもそうですけど、きっかけは大野さんの指示からなのでとても感謝していますし、試合が終わったらすぐに「ありがとうございました」と伝えました。

――ちなみに、MVPの賞金100万円の使い道は?
大塚 みんなの分を払ったわけではないですけど、オフの時期に富樫(勇樹)と田口(成浩/ともに千葉)、あと家族全員でハワイに行きました。元々は僕が富樫に「お前がMVP取ったらタダで連れてけよ」と言ってたんですけど、結果的に逆になりましたね。

2年連続MVP、そろそろ出てもいいんじゃないですか(笑)

――来年のオールスターは大塚選手の地元でもある北海道で開催されます。ズバリ、3年連続で出場する自信はありますか?
大塚 いやーーー、今の段階ではないっすね……(苦笑)。

――ずいぶん自信がなさそうですね……?
大塚 今シーズンはまだ目立った結果を残せていないですし、川崎には(篠山)竜青、ニック、辻(直人)の代表組がいてチーム内にもライバルが多いので。地元なので何とか出たいなという気持ちはありますけど、冷静に考えたら川崎ファンの皆さんも誰に投票するか悩むと思いますし……。前回のMVPはそのまま次の年も出れる、みたいなシステムが欲しいですよ(笑)。

―そのシステムはいいアイデアだと思います。3ポイントコンテストにも出場したいですか?
大塚 あれはもう出たくないですね(笑)。熊本開催の時に出たんですけど全然ダメでした(30点満点中10点)。そこから調子がおかしくなったイメージがあるので……。

――あまりいい思い出がないのですね(笑)。今月には出身地である名寄市の「栄誉賞」も受賞されました。改めて、地元オールスター出場への意気込みを聞かせてください。
大塚 富山(グラウジーズ)にいた前回もある意味地元でしたが、北海道は僕自身の地元なので今回の方が出たい気持ちが強いかもしれません。

僕の地元(名寄市)では、バスケットボール自体がまだあまり浸透していなくて、やっぱりスキーとか冬のスポーツの方が盛んなんですよ。でも今は動画でBリーグの試合を見れますし、それこそレバンガも人気があるので、バスケをやる地元の子どもたちが徐々に増えているんです。9月のプレシーズンマッチで北海きたえーるに行った時は、大人数で地元の同級生たちが応援に来てくれましたし、そうやってバスケに対して徐々に行動を起こしてくれています。なので、僕もオールスターのコートに立って各チームのトップ選手とプレーする姿を見せたいですし、それが実現したらもっともっと夢が広がっていくんじゃないかなと思っています。

地元の子供たちへ夢を与えるためにも、大塚は3年連続の出場を目指している

――オールスターに出場するのは、レギュラーシーズンでのアピールも必要になってくると思います。
大塚 そうですね。プロとしてもしっかり結果を出して選ばれたいと思っています。

――Bリーグオールスターは、まだ2年連続MVPが出ていないですね。
大塚 Bリーグも4シーズン目なので、そろそろ出てもいいんじゃないですか(笑)。来年狙えるのは僕だけですよ。

――過去2年間は小林慎太郎選手(熊本ヴォルターズ)、大塚選手(富山)と開催地の所属チーム選手がMVPを受賞しています。
大塚 今シーズンで引退を表明している折茂(武彦/レバンガ北海道)さんが最後なので、まだ出ると決まっていないですけど、やっぱりそこが引っかかりますよね。でも、出場したらもちろん狙っていきたいと思います。

――川崎から選出された選手はB.WHITE、北海道の選手はB.BLACKとチームが別れます。2人とも出場できた場合は対戦相手になります。
大塚 自分のシュート、得点で会場を盛りあげたいですし、折茂さんとの打ち合いもしてみたいです。そこで折茂さんより決められれば、MVPも見えてくるんじゃないかなと思っています。

――川崎ファンだけでなく、地元・北海道のファンも大塚選手のオールスター出場を願っていると思います。最後にファンの方々へメッセージをお願いします。
大塚 オールスターに出られなければ何も始まらないので、まずは2連続MVPを獲得できる権利を手に入れたいです。オールスター出場、2年連続MVPという称号はプロ選手として自分の価値を上げるためにも大事なステータスだと思っていますし、出場できるようにオールスター前までのパフォーマンスをしっかり出して皆さんに投票してもらえるよう祈るだけです。ファンの皆さん、よろしくお願いします!

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